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2023年9月30日 (土)

国民経済破壊する日銀インフレ誘導

日本の消費者物価指数上昇率=インフレ率は本年8月時点で前年同月比3.2%。

日銀の目標は前年同月比2%上昇。

これをはっきりと上回っている。

とりわけ重要な数値は生鮮食品とエネルギーを除く総合指数の上昇率。

こちらは本年8月に前年同月比4.3%上昇を示している。

日銀のインフレ誘導目標をはるかに超えている。

            消費者物価上昇率推移(日本、%)

Cpi093023
しかし、日銀は現在、インフレ誘導政策を遂行している。

理由は

「2%インフレが持続的かつ安定的に実現する見通しが得られていない」

というものだという。

7月の政策決定会合で日銀が公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で日銀は2023年度の消費者物価上昇率を3.2%(生鮮食品とエネルギーを除く総合)とした。

本年4月時点での見通しは2.5%上昇だった。

大幅上方修正だ。

この見通し修正を背景に日銀は7月政策決定会合で政策修正を行った。

長期金利上限をこれまでの0.5%から1.0%に引き上げた。

当然の対応と言える。

しかし、9月政策決定会合で政策を現状維持し、インフレ目標が実現するまでは「ねばり強く金融緩和を続ける」とした。

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日銀が「2%インフレが持続的かつ安定的に実現する見通しが得られていない」とする根拠として日銀インフレ率見通しが提示されている。

7月展望レポ-トでの日銀インフレ率見通しは以下のもの。

コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合)
2024年度 +1.7%
2025年度 +1.8%

2024年度、25年度のいずれも2%を下回っている。

これを根拠に日銀は

「2%のインフレ率が持続的・安定的に達成される見通しは得られていない」

としている。

しかし、日銀のインフレ見通しは甘い。

本年1月18日に公表した「展望レポート」で日銀が示した2023年度インフレ率見通しは次のもの。

コア指数(生鮮食品を除く総合) +1.6%
コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合) +1.8%

これが本年7月の「展望レポート」で次のように改定された。

コア指数   +2.5%
コアコア指数 +3.2%

本年8月のコアコア指数上昇率は4.3%に達している。

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2024年度、25年度のインフレ率が2%を大幅に超えることは間違いないだろう。

つまり、日本においてもインフレは完全に警戒水準を超えている。

日銀は「インフレ誘導」でなく「インフレ抑止」に政策路線を転換する必要がある。

ところが、日銀はインフレ誘導政策を改めようとしない。

この結果、被害を蒙るのは一般労働者だ。

労働者の実質賃金指数は本年7月に前年比2.5%減少。

物価が下落していた2021年5月には実質賃金が前年比3.1%増加を示したのに、つるべ落としに転落した

労働者1人あたり実質賃金指数増減率推移(現金給与総額、前年同月比、%)

092323
本年春には岸田内閣が高水準の賃上げが実現したと騒いでいたが、結果を見れば実質賃金の減少継続なのだ。

インフレが進行するときにインフレを上回る賃上げは実現しない。

日銀は来年の春闘での賃上げが重要と主張するが、賃金は日銀の政策対象でない。

名目の賃金が増えるときに、その賃金が実質で減少することがないよう、物価上昇を抑止するのが日銀の役割=責務である。

インフレを推進すれば実質賃金は減少する。

日銀によるインフレ推進は国民に対する背信行為。

そもそもインフレ誘導は企業の賃金コストを減らすため、すなわち、実質賃金を減らすことを目的に提唱された政策である。

インフレが勢いを増しているときに、そのインフレがさらに加速するように政策を運営するのは国民に対する暴虐行為である。

日銀は直ちに基本方針をインフレ抑止に転換する必要がある。

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