史上空前の連続重大性犯罪企業
ジャニー喜多川氏の性暴力犯罪問題。
刑法は「強制わいせつ罪」について次のように規定していた。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪における「暴行又は脅迫」は「相手方の意思に反して」という程度の行為で足りるとされている。
2017年改正で強制わいせつ罪は親告罪から非親告罪になった。
強制わいせつ罪を起訴するのに告訴が不要となった。
逆に言えば改正前は起訴するのに告訴が必要だった。
さらに2023年改正で「強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」に変更された。
不同意わいせつ罪は、次の1~8のいずれかを原因として、同意しない意思を形成、表明または全うすることが困難な状態にさせ、あるいは相手がそのような状態にあることに乗じて、わいせつ行為に及ぶと成立する。
1.暴行若しくは脅迫を用いることまたはそれらを受けたこと
2.心身の障害を生じさせることまたはそれがあること
3.アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること
4.睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること
5.同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと
6.予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること
7.虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること
8.経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること
旧刑法でも13未満の者に対するわいせつな行為について、暴行又は脅迫の有無を問わず、強制わいせつ罪が成立するとしている。
音楽家の服部吉次氏はいまから70年前の1953年頃に服部氏が8歳のときにジャニー喜多川氏から性暴力を受けたことを証言している。
70年近くの長期間にわたり、ジャニー喜多川氏が重大な性犯罪を実行してきたことが推定されている。
ジャニーズ事務所はジャニー喜多川氏による性加害の事実があったことを認めた。
「性加害」という言葉が用いられているが、明らかに「性犯罪」あるいは「性暴力犯罪」と呼ぶべきものである。
この性犯罪が長期にわたり実行され、隠ぺいされてきた事実は重い。
しかし、その事実ははるか昔から告発されてきたものである。
1999年11月に喜多川氏の性加害などを報じた週刊文春の記事を喜多川氏側が名誉毀損だとして東京地裁に訴えた裁判では最終的に喜多川氏側が敗訴している。
東京地裁は文春側の主張を認めなかったが、東京高裁は「記事の主要部分は真実性の要件を満たしている」と認めて喜多川氏側が逆転敗訴。
最終的に2004年に最高裁が喜多川氏らの上告を棄却して判決が確定した。
1988年11月にはジャニーズ事務所でフォーリブスのメンバーとして活躍した北公次氏が
「光GENJIへ・元フォーリーブス北公次の禁断の半生記」(データハウス)
を刊行し、ジャニー喜多川氏の性犯罪を告発した。
同書は35万部も売れたにもかかわらず、新聞やテレビが取り上げることはなかった。
スポンサー企業によるジャニーズタレント起用中止などの動きが広がっているが、その原因はジャニーズ事務所の対応にある。
9月7日の会見でジャニーズ事務所は次の対応を示した。
1.性暴力加害者の名を冠した社名を変更しない
2.ジャニー喜多川氏の姪であるジュリー藤島氏が同社の株式を100%保有したまま、代表取締役として同社最高経営者として残留する
3.性暴力の事実を認定したが記者会見を行った3名は噂を聞いたことはあるが事実は知らなかったとした
4.ジャニー喜多川氏と長期にわたり密接な関係を保持してきた東山紀之氏が後任社長に就任
5.ジャニー喜多川氏の性暴力の実態をもっともよく知る人物であるとされるジャニーズ事務所副社長だった白波瀬傑氏が記者会見に出席せず
ジャニー喜多川氏一族が同社を100%支配し続け、社名を変えず、ジャニー喜多川氏と極めて親密な関係を維持してきた東山氏が新社長に就任することが示された。
会見では新社長の東山紀之氏による過去の性暴力加害疑惑についての質問が示され、東山氏は当初は否定したが、質問が繰り返されると疑惑を肯定すると受け取れる回答を示した。
同社が重大な性犯罪事案に適正に対応していると判断されないことは明白。
企業がジャニーズタレントの起用を中止する措置を取るのは当然のこと。
問題はテレビメディアの対応があまりにも鈍いこと。
仏フィガロ東京特派員のレジス・アルノー氏がジャニーズ事務所記者会見について論評した。
「海外記者がジャニーズ会見に見た日本の「大問題」
日本が陥っている状況が問題を大きくさせた
ジャニーズ事務所の記者会見で感じた「奇妙さ」の正体とは」
https://toyokeizai.net/articles/-/700654
アルノー氏が提示した「喜多川システムの共犯者たち」という問題提起が重要。
NHKも民放も「喜多川システムの共犯者たち」。
重要なことは瞬間的な騒動とせずに、問題の適正な決着を確実に見届けることだ。
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