同時に衰退する与党と野党
岸田内閣が発足して間もなく2年の時間が経過する。
岸田首相は「新しい資本主義」の言葉を掲げ、「分配」が重要だと述べた。
しかし、実行は伴わなかった。
「分配が重要」は「成長も分配も」に変わり、結局「まずは成長」に変わった。
変化は期待だけに終わった。
昨年5月に岸田文雄首相はロンドンで講演。
岸田氏は「日本経済はこれからも力強く成長を続ける」と述べた。
岸田氏は「これからも力強く成長」と述べたが、日本経済はこれまでも力強く成長していない。
1995年のドル表示日本GDPを100としたとき、2020年のGDPは91。
25年間の成長がマイナスなのだ。
「成長も分配も」、「まずは成長」と言うが、日本経済は成長できない「失われた30年」を経過してきた。
このなかで分配の格差拡大が進行。
新しい貧困問題が生み出されてきた。
1996年から2022年までの26年間に日本の労働者一人当たりの実質賃金は14.4%減少した。
ゼロ成長どころか賃金が二桁の減少を示した。
多くの国民が下流に押し流され、新しい貧困問題が生み出されている。
岸田首相前任の安倍晋三氏、菅義偉氏は傍若無人の不遜な振る舞いを示した。
岸田氏は前任2名に比べれば丁寧な受け答えをするから、このことによる好印象で高支持率を享受したが、実際に政策運営に岸田色を打ち出すと支持率は急落に転じた。
昨年7月に安倍元首相が暗殺された。
安倍氏が癒着関係を有していた統一協会の二世が統一協会の反社会的活動に対する怒りから犯行に及んだものと理解されている。
岸田氏はこの事情で暗殺された安倍元首相の国葬実施を強行した。
何を提案されても「検討します」を繰り返し「検討使」と揶揄されてきた岸田氏が独断専横で国葬実施を決めた途端に支持率急落が始動した。
その岸田首相の独断専横は国葬実施強行にとどまらなかった。
昨年末に岸田首相は三つの重大な路線を独断専横で決定した。
軍事費倍増
原発全面推進
大増税実施方針
だ。
国論を二分する重大論点に関して十分な議論も行わずに独断専横で方針を決めた。
岸田暴政が加速している。
岸田内閣支持率は昨年9月以降、3割を割り込んだ。
政権存続に黄信号が灯った。
5月広島サミット開催で一時的に支持率が回復したが、サミットの成果が皆無で支持率は再反落。
再び政権危機を意味する3割割れに転落している。
岸田内閣を退場させ、政治を刷新する必要性が高まっているが、事態はそう単純ではない。
岸田内閣の凋落と並行して野党第一党である立憲民主党の転落も加速している。
間隙を縫って浮上しているのが維新。
しかし、維新は代表が明言するように「第二自民」でしかない。
維新の基本は
市場原理主義、民営化利権、壊憲だ。
経済運営を市場原理に丸投げする。
市場原理は勝者と敗者を生み出す。
正義が勝者、不正義が敗者ではない。
不正義が勝者で正義が敗者になるのが多いのが市場原理主義の実相。
市場原理主義は敗者を放置する。
貧困問題が加速していた主因が市場原理主義。
民営化はもっともらしく見えるが、実態はハイエナ資本が倒産のない公的事業で暴利をむさぼるものでしかない。
日本国憲法を破壊して独裁権力を創出する。
これが維新の基本路線であると考えられる。
立憲民主党は迷走を続け、維新にすり寄る醜態を示してきた。
岸田暴政が猖獗を極めるなかで、暴政を抑止する牽制力が著しく弱体化している。
日本政治について真剣な再考察が求められている。
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