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2023年7月16日 (日)

国民監視萎縮法制3点セット

タレントのryuchellさんが急死されたことに関して自民党議員が

「TwitterやSNSで誹謗中傷をして侮辱罪等の刑法犯に該当する者はアカウントを削除した者も含めて『すべて』逮捕すべきだと考えます。」

と情報発信した。

「侮辱罪の厳罰化」は2020年5月に女子プロレスラーの木村花さんがインターネット上の誹謗中傷を苦に自殺された事件が契機になったと言われる。

木村花さんを誹謗中傷した者は多数存在したが実際に立件されたのは2件にとどまった。

しかも、刑罰は9000円の科料だった。

木村花さんの母も「侮辱罪の厳罰化」を支持されてきた。

こうした状況下での国会審議を経て、「侮辱罪」を厳罰化し、現行の懲役や罰金刑の対象とする改定刑法が昨年6月13日の参院本会議で可決、成立した。

侮辱罪を厳罰化する法改定の目的はインターネット上の誹謗中傷対策を強化するためと伝えられている。

インターネットが普及する前は、一般的な個人が自分の主張を社会に広く伝える方法は多くなかった。

しかし、インターネットが普及し、メディアや著名人でない個人の発言が広く拡散される現象が広がっている。

インターネット上での誹謗中傷は軽い気持ちからのものであっても被害者を深く傷つけることがある。

こうした事情が法改定の背景として指摘された。

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侮辱罪厳罰化の改定刑法は昨年7月7日に施行された。

侮辱罪が制定されたのは116年前。

改定前は法定刑が「拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)または科料(1000円以上1万円未満の制裁金の支払い)」だったが、改定によって「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に変更された。

これに伴い侮辱罪の時効は1年から3年に延長された。

この法改定で、(1)身柄拘束と(2)立件が増加することが予想されている。

従来の侮辱罪における拘留又は科料の法定刑の下では、

被疑者・被告人が定まった住居を有しない場合

又は正当な理由がなく出頭要請に応じない場合

に限って逮捕が可能だった。

現実には逮捕、勾留は行われてこなかった。

法改定で法定刑に「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」が加えられたことで、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合には逮捕が可能になる。

勾留は「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」や「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」に可能となり、インターネット上の誹謗中傷においては証拠隠滅の余地が大きいことから、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」として勾留が認められる場合が多発することが予想される。

また、厳罰化によって捜査機関が侮辱罪の立件に積極的になる可能性が高いとも考えられている。

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さらに法改定前は、侮辱をするようにそそのかした人(教唆犯)や、侮辱するのを助けた人(幇助犯)は処罰されなかったが、改定後は教唆犯や幇助犯も処罰されることになる。

法改定等のSNS等を通じる誹謗、中傷に対する規制強化を求めることは正当だが、懸念されるべき事由も存在する。

法改定では自民、公明、日本維新の会や国民民主党が賛成したが、立憲民主党や共産党は反対した。

法改定を推進した自民党は「政治家に対する侮辱発言も一般人と同様に法的に対処すべき」と考えたと見られる。

法改定に積極的であった真の狙いはこの点にあると思われる。

しかし、このことが言論の自由を制約することにつながるなら憲法の規定に反することになる。

基本的人権について日本国憲法は

第十三条 (前略)生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

と定めている。

「公共の福祉に反しない限り」最大の尊重と規定されており、政治家に対する批判に関して「公共の福祉に反しない」かどうかの線引きが焦点になる。

政治家への正当な批判・言論の自由は民主主義を健全に機能させる上で必要不可欠のもの。

しかし、改定法の運用によっては正当な言論活動が根こそぎ弾圧される可能性が浮上する。

第2次安倍内閣発足後に制定が強行された「特定秘密保護法」(2013年11月)、「共謀罪を含む改正組織的犯罪処罰法」(2017年6月)に加えての侮辱罪厳罰化(2022年6月)は、政治権力を批判する国民を監視・萎縮させるための悪法三点セットであると言える。

現在の論議の背後にこの文脈が存在することを明確に認識しておかねばならない。

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