世界経済軟着陸は可能か
世界の金融市場が大きな荒波を乗り越えようとしている。
2022年の金融市場を襲ったインフレという大波。
欧米のインフレ率は二桁目前にまで急騰した。
FRBは激しい勢いで金利引き上げを遂行。
2023年はインフレが燃えさかるなかで金融引締め政策が持続されてインフレが残存するとともに景気の大幅落ち込みが発生するとの警戒論が唱えられた。
インフレと景気後退=スタグネーションの同時進行。
これをスタグフレーションと呼ぶ。
2023年の景気後退は必至とする主張が大勢を占めた。
このため、2023年は株価が暴落して金融不安が拡大し、恐慌の様相を示すとの見解が並べ立てられた。
このなかで私は市場の多数派見解とは異なる見通しを示した。
2022年に猛威を奮った三大リスクが後退し、金融市場に明るさが広がるとの見通しを示した。
米国長期金利が急上昇したから金融問題の発生は避けられない。
金利急騰は必ず一定の金融波乱を生み出す。
しかし、その金融波乱は恐慌につながるものにはならない。
金融恐慌は回避されて株価が反騰する。
とりわけ、日本株価は一般の見解とは異なり急騰を演じる。
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日経平均株価は年初に25500円でスタートしたが6月には33700円にまで急騰した。
私が執筆・発行している月2回のマーケット・レポート『金利・為替・株か特報』では、本年6月12日号に株価上昇の中休み局面到来=株価踊り場局面到来を予測した。
https://uekusa-tri.co.jp/report-guide/
6月中旬から7月中旬にかけて、予測通りの株価踊り場が示現した。
2012年以来、今回を含めて4度観測されている株価急騰局面の中ほどに例外なく「踊り場局面」が観測されている。
今回も類似した「踊り場局面」が到来することを予測した。
当面の焦点は7月27-28日の日銀金融政策決定会合だ。
世界の中で日銀だけがインフレ下の金融緩和政策=インフレ推進政策を実行している。
この政策運営が日本円暴落をもたらしてきた。
日本の消費者物価上昇率は米国の消費者物価上昇率を上回った。
インフレ進行は庶民の生活を圧迫するもので百害あって一利のないもの。
日銀の政策修正が不可避の状況になっている。
日銀が7月会合で何らかの政策修正に追い込まれる可能性が高いことを指摘した。
この思惑浮上から株式市場に踊り場局面が到来し、為替市場での円高回帰の変化が生じることを予測した。
6月から7月にかけて、予測した金融変動が生じてきた。
ただし、日本経済を取り巻く外部環境に変化が生じており、日銀の本格金融引締めは不要な情勢。
日銀は政策運営を微修正することで難局を打破できる状況にある。
2023年に、世界的なスタグフレーション進行ではなく、広い意味での「軟着陸=ソフトランディング」ないし「やや軟着陸=ソフティッシュランディング」が実現する可能性が浮上している。
年初の大勢の専門家見通しとは異なる現実が生じる可能性が高まりつつある。
この変化を主導した中心に位置するのがパウエルFRB議長である。
パウエル氏は2018年2月にFRB議長に就任した。
トランプ大統領に抜擢されたことから、トランプ大統領が忌み嫌う金利引き上げを断行できるかに強い不安があった。
この市場動揺にどう対処するのかが注目された。
パウエル議長は2018年に4度の利上げを断行して市場不安を断ち切った。
転じて2019年には引締めの行き過ぎに対する警戒が広がった。
パウエル議長はすかさず柔軟対応の用意があることを表明し、年後半には3度の利下げを断行した。
このなかで2020年を迎え、世界はコロナショックに遭遇した。
パウエル議長は直ちにゼロ金利政策を断行。
トランプ大統領の200兆円経済政策とあいまって世界経済の崩落を回避した。
その副作用として2022年にインフレが顕在化したが、パウエル議長はFFレートを短期日に5%超水準にまで引き上げてインフレ亢進を遮断しつつある。
政策責任者の技量によって国家の命運は左右される。
この事実を改めて確認しておかねばならない。
7月下旬に日米欧の政策決定会合が重なる。
米欧は引締め措置の最終段階にさしかかる。
この政策決定が重要な節目を形成する可能性を指摘しておきたい。
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