真相解明まで終わらない123便事件
6月1日午後1時半、東京高裁がJAL123便ボイスレコーダー等開示請求事件の判決を示す。
訴訟は2021年3月28日に東京地方裁判所に提起された。
原告は123便墜落で夫を失った吉備素子さんと123便副操縦士佐々木祐さんの姉、市原和子さんの2名だったが市原さんは提訴を取り下げた。
暗闘が存在したと考えられる。
訴えは日本航空に123便のボイスレコーダーとフライトレコーダーの全面開示を求めるもの。
開示されているものは不完全。
1.内容のすべてを
2.原記録のままの状態であることが確認できる状態で
3.聴取・閲覧できるかたちで
開示することを求めている。
東京地方裁判所は2022年10月13日に原告の請求を棄却する判決を示した。
原告は直ちに東京高等裁判所に控訴。
控訴審では2023年2月21日、4月11日に口頭弁論期日が設けられ4月11日に結審した。
4月11日には原告の吉備素子さんが肉声で高裁に適正な判断を示すよう求めた。
請求の根拠は
憲法第13条が定める幸福追求権、人格権の発展形としての事故情報コントロール権、
ならびに、
国内旅客運送約款に基づく信義則上の安全配慮義務・情報提供義務に基づく権利。
死者の個人情報も遺族等の生存する個人自身の情報と考えられる。
死者の出自の確認・死亡に至る経過に関する情報は遺族の情報でもあるとの考え方に基づく情報開示の請求。
さらに、日本航空は、安全に目的地まで運行し目的地で乗客が下車できるようにする契約上の義務を負い、これが達成できなかった場合、この義務は、何故履行できなかったのかを説明し、情報提供する義務に転化する。
日本航空は遺族に対して情報を開示する義務を負うと考えられる。
しかし、日本航空は
1.憲法の基本的人権保障規定は国家対私人の関係を規律するもので、私人間の関係を規律するものではない。
2.開示を求められているデータは個人情報に当たらない。
3.契約上の義務として情報開示義務が生じると言えない。
4.本件データは事故調査委員会の報告書に紙媒体として記録・添付されている。
5.損害賠償請求事件の和解成立で一切が解決済みである。
と主張している。
5番目の主張について、1991年3月26日にボーイング社を被告とする損害賠償請求訴訟事件で和解が成立しているが、日本航空は被告になっていなかったが裁判所が勧めた和解の最終期日に訴訟参加したもの。
遺族は、和解はボーイング社との和解であってJALとの和解ではないと捉えている。
1番目の、日本航空が民間企業であり憲法の基本的人権規定に規律されないとの主張については、123便が墜落した事件当時、日本航空は半官半民の国策会社であり、民間企業との主張は成り立たないと原告は主張している。
政府事故調は圧力隔壁損傷による垂直尾翼喪失が事故原因だとしているが、墜落から28年も経過した2013年9月に運輸省航空事故調査員会による
「62-2-JA8119(航空事故調査報告書付録)
(JA8119に関する試験研究資料)」
https://bit.ly/3KAt8Kr
が公開され、「異常外力の着力」が明記された。
「異常外力の着力」があった時刻は、ボイスレコーダーに記録されている衝撃音発生時刻と完全に重なる。
資料の116頁に「異常外力の着力点」が図示され、101頁に
「18時24分35.64秒ごろに前向きに、また、36.16秒ないし36.28秒ごろに下向きに、それぞれ異なる異常な外力が作用したことが確からしく考えられる。」
と明記された。
これは、公表されているボイスレコーダーにおける、
8月12日18時24分35秒と同36秒ころに2度、「ドーン」という2度の音声記録
と完全に符合する。
事故調の見解を完全否定する123便外部からの「異常外力」が123便に着力したことを政府資料が明らかにした。
日本航空は信義則上の安全配慮義務・情報提供義務に基いてボイスレコーダー等のデータを完全開示すべきであり、裁判所は開示を命じる判決を示すべきだ。
同時に、この訴訟とは離れても、日本政府は「異常外力の着力」発表を受けて政府自身の自発的行動として事故原因を再調査すべきだ。
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