歴史上最低最悪のサミット
国連に加盟する国の多くがロシア非難決議に賛成した。
昨年3月2日の国連総会緊急特別会合が
「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」
を採択。
賛成した国は193ヵ国中の141ヵ国、賛成に回らなかった国は52ヵ国。
圧倒的多数が非難決議に賛成したように見えるが、それぞれの国の人口を合計すると、
賛成国が42%、非賛成国が58%だった。
G20で対ロシア経済制裁に加わっている国は10ヵ国(EUを1ヵ国として)。
経済制裁を実施していない国も10ヵ国。
しかし、人口比では制裁参加国が19%、制裁非参加国が81%(EUを人口最多国スペインの人口で計算)。
欧米の主張は世界の声でない。
欧米の声に過ぎない。
NATOという軍事同盟がある。
欧米とはNATOのこと。
1989年に冷戦が終焉し、その後、東西ドイツが統一された。
このとき、米国はNATOを1インチたりとも東に拡張しないことをソ連に確約した。
NATOの東方拡大はロシアにとっての軍事的脅威。
ロシアに隣接する国がロシアに向けて核弾頭を配備することはロシアの安全保障を脅かすもの。
かつてソ連がキューバにミサイルを配備しようとした。
これに猛烈な反応を示したのが米国である。
キューバへのミサイル配備は米国の喉元に匕首を突き付けるものだと批判した。
米国が核戦争を辞さない姿勢を示した。
いわゆる「キューバ危機」だ。
米国に隣接する国にミサイルが配備される。
これは米国の安全保障上の重大な危機を意味する。
結局ミサイル配備は中止され、米ソ核戦争の危機は回避された。
NATO東方拡大、ウクライナのNATO加盟、ウクライナへのミサイル配備は「キューバ危機」と同等の意味を有する。
冷戦終結を背景にソ連は東側の軍事同盟である「ワルシャワ条約機構」を解体した。
西側がNATOを解体することを前提としたソ連の対応だった。
ところが、米国はソ連との約束を破った。
NATOは膨張に次ぐ膨張を重ね、当時の16ヵ国体制が現在は31ヵ国体制に変化した。
「安全保障の不可分性」という確立された公理がある。
他国の安全保障を犠牲にして自国の安全保障戦争を追求してはならないというもの。
NATOの東方拡大は「安全保障の不可分性」原則に反するもの。
2022年のロシアによる特別軍事作戦は2014年のウクライナ政権転覆後に勃発したウクライナ内戦の延長線上に位置付けられる。
紛争の解決に武力を用いた点でロシアの対応は批判されるべきものだが、
ウクライナで内戦があり、
内戦を収束するための国際法であるミンスク合意をウクライナ政府が踏みにじってきたこと、
ウクライナ東部2地域が国家独立を宣言し、その独立国がロシアに対して集団的安全保障上の要請を行い、ロシアが軍事作戦を展開したということになると、国際法上の説明が成り立つ面がある。
世界の趨勢が2つの共和国を独立国家として承認していないという事情は存在するが、2014年に暴力革命で樹立されたウクライナ政府は、元来、独立国家として承認されるべきものでなかった。
ウクライナ東部2共和国とウクライナの位置付けは類似したものである。
暴力革命により非合法政府を樹立したのは米国であり、その米国がウクライナ新政府を勝手に承認しただけのことである。
ウクライナ内戦を収束するための国際法であるミンスク合意の履行状況を検証することから始めなければウクライナ戦乱を解決することはできない。
G7は戦乱終結に向けての尽力を示すべきだったが、現実にはウクライナが兵器乞いに参上し、G7が戦争拡大、長期化のための武器支援を行うことだけを決めて終了した。
西側軍事同盟の戦争推進の決起集会に終わってしまった。
歴史上、最悪、最低のサミットに終わったというのが適正な評価である。
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