責任を「感じて」も解決にならず
高市早苗国務相(経済安全保障担当)の発言が揺れている。
3月3日の参院予算委員会での高市早苗議員は立憲民主党の小西洋之議員が公表した文書について「ねつ造」であると述べた。
文書は放送法をめぐる総務省作成とされる内部文書で、高市氏は文書が捏造だと考えていると述べた。
この答弁に対して小西議員から「捏造でない場合大臣を辞職するか」と問われて高市議員は「結構ですよ」と答えた。
この問題に関して高市議員は3月8日の参院予算委員会で、当該文書のなかの自身に関する4枚について「ねつ造だ」と主張した。
その上で、「ねつ造」でなければ責任を「取る」ことを改めて表明した。
高市議員は当該文書の高市氏に関する記述について「ねつ造」であるとし、「ねつ造」でないことが明らかになれば議員辞職することを改めて表明したと言える。
当該文書について松本剛明総務相は総務省の行政文書であることを確認したことを明らかにした。
文書は放送法の解釈について2014~15年に官邸と総務省が協議を重ねた経緯を記載したもので、当時の総務相が高市早苗氏であった。
高市議員は「文書がねつ造である」と述べていたが、3月10日になり、表現を変更した。
高市議員は3月10日の記者会見で、
「正確性が確認されていない文書が保存されていたことは大変残念だ。当時の総務相として責任を感じている」
「相手方の確認を取るなど、正確性を期する手順がとられていないことが判明している」
と述べた。
行政文書が「ねつ造文書」であることと「正確性が確認されていない文書」であることとの間には大きな隔たりがある。
高市議員は当該文書が「ねつ造文書」であり、「ねつ造文書」でないことが明らかになれば議員辞職すると明言していたのであるから、核心の表現を変えるべきでない。
当該文書は放送法の解釈に関わる極めて重大な事案。
放送法が定める「政治的公平」の判定基準の問題。
放送事業者の「番組全体として判断する」との解釈を、「一つの番組でも、明らかにおかしい場合には取り締まりができる」ようにする、条文の解釈変更が目論まれた事案である。
この解釈変更を強行したのは当時の首相補佐官の磯崎陽輔氏。
実際に、礒崎氏は自分がコントロールできる議員に国会で質問をさせて、その質問に対する総務相答弁によって解釈変更の既成事実を創作することを目論見、実際に実行に移している。
この「工作活動」の過程で礒崎議員は高市早苗総務相(当時)と三度、同じ会合に出席していることが礒崎氏のブログに記載されている。
http://isozaki-office.jp/diary_2015.html
具体的には、1月9日党本部で総務部会関係合同会議に出席、3月19日に総務委員会に出席、12月21日に総務部会関係合同会議に出席、と記載されている。
3月9日の内閣委員会で高市早苗議員は礒崎氏について次のように述べた。
「礒崎さんからの働き掛けによって私の答弁が変わったかのように言われていますけど、それも違います。
礒崎さんという名前は今年3月になって初めて聞きました。
私が礒崎補佐官について、その名前もしくは放送行政に興味をお持ちだと知ったのは3月、今年3月になってからでございます。」
高市氏は今年の3月になるまで礒崎氏の名前すら知らなかったと答弁した。
ところが、これと矛盾する事実の存在が指摘されている。
2013年に大分県由布市での講演で高市氏は次のように述べている。
「それからこの夏、磯崎陽輔さんにはホンマにお世話になりました。
いまも総理の側近で、官邸の中で補佐官として大活躍してくれています。
磯崎さん、うちの主人と割と似ていて、主人と思って手を降ったら磯崎さんだったことが2回ある。」
磯崎陽輔氏は2013年7月参院選で大分選挙区から立候補して当選している。
この選挙に向けての講演会であったと考えられる。
その礒崎氏について高市議員は「今年の3月になって初めて名前を知った」と述べている。
つまり、高市氏の言葉はまったく信用できないということになる。
虚言癖を有しているか、そうでなければ、認知機能に重大な問題があると推察されることになる。
世紀のウソつき人物であるか心神耗弱に近い状況にあると推定されることになる。
この点を踏まえて今後の対応を検討する必要がある。
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