高市国務相の絶体絶命
高市早苗国務相(経済安全保障担当)は3月9日の内閣委員会で放送法の解釈変更を強引に推し進めた礒崎陽輔元首相補佐官について、
「礒崎さんからの働き掛けによって私の答弁が変わったかのように言われていますけど、それも違います。
礒崎さんという名前は今年3月になって初めて聞きました。
私が礒崎補佐官について、その名前もしくは放送行政に興味をお持ちだと知ったのは3月、今年3月になってからでございます。」
と述べた。
ところが、高市氏が2013年に大分県由布市での講演で次のように述べていたことが指摘された。
「それからこの夏、磯崎陽輔さんにはホンマにお世話になりました。
いまも総理の側近で、官邸の中で補佐官として大活躍してくれています。
磯崎さん、うちの主人と割と似ていて、主人と思って手を降ったら磯崎さんだったことが2回ある。」
礒崎氏の地元での講演で上記の発言を示しておきながら、本年3月になって初めて名前を知ったと述べたのである。
矛盾を突かれた高市氏は3月11日にツイッターで、
「放送法解釈に関して礒崎氏の名前が出ているのを知ったのが今月という意味」
だと弁解した。
息を吐くようにウソをつき、ウソが発覚すると白々しい弁解を重ねる。
真摯に虚偽を認めて謝罪することがない。
安倍流は時代遅れであることに未だに気付かないようだ。
礒崎陽輔氏が跋扈して、放送法の解釈を変更し、特定のテレビ番組を放送法違反であると認定することができるようにした、悪質な言論統制事案の顛末を記録した行政文書。
高市氏は「ねつ造文書」だと一蹴したが、松本剛明総務相があっさりと行政文書であることを認めてしまった。
すると高市氏は、行政文書のなかの自分に関わる部分については「完全にねつ造」だと主張。
当該行政文書は総務省の幹部によって作成されたもので、事実に反する記述が記される可能性は極めて低い。
しかし、その行政文書について、「完全なねつ造」だとする主張を示し、高市氏はこれを撤回しない。
総務省は内部調査で事実関係の確認を行っており、徐々に事実が明らかになりつつある。
恐らく、事実関係はすでに確認済みであると考えられるが、それを明らかにすると高市氏が完全に詰まされてしまうため、事実の開示を遅らせているのだと思われる。
しかし、高市氏の劣勢は鮮明だ。
高市氏は自分に関わる部分について「完全なねつ造」だと断定してしまっている。
そうなると、文書に記されている、高市氏に関与する部分の一部でも、事実であることが判明すれば、高市氏の主張は崩れてしまう。
焦点が当てられているのは、2015年2月13日に放送関係の大臣レクがあったのかどうか。
高市氏はこの日の「大臣レク」の存在そのものを否定している。
しかし、仮に大臣レクが存在した場合、そのレクに参加した者が複数存在し、その参加者に対して聴き取り調査を実施すれば、大臣レクの存否を確認できる。
すでに総務省ではこの件に関するヒアリングが実施された可能性が高い。
本日、3月13日の参議院予算委員会集中審議で、総務省の小笠原情報流通行政局長は、
「2月13日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高い」
と答弁した。
「約8年前のことであり、作成者及び同席者のいずれも、個々の内容まで覚えていないとしていることから、総務省として、この文書に記載されている内容が正確か否かを、現時点でお答えすることは困難」
と答弁したものの、大臣レクが実施されたということになると、高市発言は真実でないことが立証される。
高市氏は「行政文書がねつ造でなければ議員辞職する」と明言しており、議員辞職せざるを得ない状況が生まれることになる。
そもそも、行政文書を「ねつ造だ」と断定し、「ねつ造でなければ議員辞職するのも結構」と踏み込んだことが不可解だが、自分で掘った落とし穴だから、落とし穴に落ちれば「責任を取る」ことを迫られるのは当然のこと。
高市氏が頼みとしていた「息を吐くようにウソをつく」師匠の安倍元首相もいまは存在しない。
内閣もしくは自民党で高市氏を守れという空気は皆無に近い。
高市氏が自発的に辞任しない場合、岸田首相が更迭せざるを得ない状況に至るのだろう。
高市国務相は絶体絶命の状況だ。
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