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2023年2月 4日 (土)

日銀失政を詳しく解説

金融政策運営について記述した記事

「黒田日銀政策失敗を確認」
https://bit.ly/3X4xfTr

「金融政策論俗説を一掃」
https://foomii.com/00050

について幾つかの質問を受けたので改めて考察を記述する。

論点は次の三つ。

第一は、インフレは是か非か。

第二は、インフレを超える賃上げを目指すべきなのか。

第三は、日銀は金融政策運営を変更するべきか。

結論を示す。

インフレの是非についてはインフレの程度による部分がある。

1~2%のインフレが安定的に実現するなら望ましい面はあると言える。

この前提で金融政策が運営されてきたことは事実。

ただし、インフレは企業に利益を与え、家計に損失を与える点を踏まえておくことが絶対に必要だ。

問題が二つある。

一つは現在の4%インフレをどう評価するのかという問題。

いま一つは日銀がインフレをコントロールし得るのかという問題。

これも結論を示す。

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現在の4%インフレはインフレ抑止策を講じるのが適正である。

1970年代までのインフレに苦しんだ時代の教訓はインフレに対する早期対応。

本格的なインフレを引き起こした場合のコストが大きい。

インフレを加速させてしまうと強力な金融引き締め政策が必要になる。

その引き締め政策が景気の著しい悪化を招く。

この事態を招かぬよう「インフレ未然防止」の政策対応が重要になる。

4%インフレが現実化しているなかでインフレを加速させる大規模金融緩和政策を維持することは適正でない。

インフレが顕在化している国ではインフレ抑止策が取られている。

インフレが顕在化するなかでインフレ推進策を実行することは異常であり誤りだ。

次に、日銀がインフレをコントロールできるかという問題。

インフレを抑止することは可能だが、インフレを誘導することは困難である。

インフレ率はマネーストックの伸び率と連動する。

金融引き締め策でマネーの伸びを抑制すればインフレを抑止することができる。

しかし、金融緩和政策を実行してもマネーの伸びを強制的に伸ばすことはできない。

黒田日銀は大規模金融緩和政策を実行したがマネーの伸びを実現できなかった。

結果として、インフレ率を引き上げることに失敗した。

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2012年の金融政策決定会合で白川方明総裁が懸念したのはこの点。

2%インフレを目標に掲げても実現できるかが不透明。

実現可能性が不確かな目標を掲げることが日銀の政策運営に対する信認を引き下げてしまうことが懸念された。

白川氏の指摘が正しかったことがその後の事実によって証明された。

日銀は2%インフレを公約にしたが実現できず、政策運営に対する信認は消滅した。

私も2013年に上梓した『アベノリスク』(講談社)に、インフレ誘導が成功しない可能性が高いことを詳述した。

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労働者にとって賃金が上昇することは望ましい。

インフレが進行するときにインフレを上回る賃上げを労働者が求めるのは当然のこと。

問題は労働者にとって重要なのが実質賃金である点。

残念ながら、インフレが進行するときにインフレを上回る賃上げは実現しない。

労働者にとって好ましい環境はインフレでなくデフレである。

インフレが進行すると実質賃金が減少する。

インフレ誘導は労働者にとって好ましいものでない。

もう一つの重要な問題はインフレと賃上げのスパイラルが激しいインフレを引き起こす原因になること。

これも1970年代までの事実に基づく教訓だが、インフレと賃上げのスパイラルを引き起こしてはならない。

いま求められることはインフレの抑制。

インフレ抑制を実現しなければ労働者実質賃金の引き上げは実現しない。

日銀は超金融緩和政策を修正すべきであり、岸田内閣は歪んだ日銀人事を是正する責務を負う。

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