29万人主権者の負託は重い
国会に登院しないNHK党のガーシー参議院議員に対して、参議院の懲罰委員会が4つある処分のうち3番目に重い「議場での陳謝」とすることを決定した。
2月22日の参議院本会議は「議場での陳謝」とする懲罰処分を与野党の賛成多数で可決した。
可決は全会一致でない。
NHK党は反対し、れいわ新選組は採決を棄権した。
国会法には次の条文がある。
第百二十四条 議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議又は委員会に欠席したため、若しくは請暇の期限を過ぎたため、議長が、特に招状を発し、その招状を受け取つた日から七日以内に、なお、故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する。
「国会に登院しないこと」が懲罰委員会に付す根拠ではない。
「正当な理由がなく」国会に登院しない場合に懲罰委員会に付すことが定められている。
ガーシー議員の場合、昨年夏の参議院選挙で、選挙運動のすべてをUAE からのオンラインで行い、選挙中に「当選しても日本へ帰らず海外で政治活動をしていく」ことを公約の1つに掲げた。
ガーシー氏はガーシー氏の名前を記載する28万7714票を得て当選した。
「国会に登院しない」理由としては、
1.SNS上に殺害をほのめかす脅迫、攻撃的な書き込みも受けていることから、帰国しても果たして大丈夫なのか不安があること、
2.不当逮捕、不当勾留があるのではないか危惧していること、
などが挙げられている。
日本国憲法は
五十八条
2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
と定めている。
「院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」
としているが、ガーシー氏の言動がこれに該当するのかどうかを慎重に考察する必要がある。
国会は国権の最高機関。
日本国憲法は前文の書き出しは、
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」
である。
国会議員は主権者である国民の代表者である。
その地位は重い。
議会多数勢力が身勝手に国会議員を排除することは許されない。
もちろん、国会議員に選出されたなら、登院し、主権者の意思に従い職務に力を注ぐべきことは当然だ。
登院拒否は一般論で言えば批判される行動である。
しかし、登院が生命の危険を伴う、あるいは、不当逮捕の危険を伴うのであれば、これを、
「正当な理由がなく」登院しないことと即断はできない。
ガーシー議員は参議院の議院運営委員会に対して、
「いつでも要請があればドバイからリモートで出席したい」とし、
「是非、文書ではなくデジタルを利用して直接話すべきであると切に願う」
と求めている。
参院の懲罰委員会は「議場での陳謝」を決定したが、立憲民主党は当初、「除名」を主張した。
これに対して、自民党は「国会議員の身分は慎重に扱うべき」とし、維新の鈴木宗男懲罰委員長も「後世批判をされることのないよう慎重の上にも慎重に、念には念を入れて」対応した。
結果として「議場での陳謝」が決定された。
立憲民主党の強硬な姿勢が際立った。
民主主義で重要なことは少数意見の尊重である。
多数勢力が「数の力」で少数勢力を排除することは民主主義の否定である。
ガーシー議員の言動に問題があることが事実であるにせよ、主権者である国民が多数の票を投じたという事実は重い。
一発除名を主張する立憲民主党の姿勢に重大な問題が潜む。
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