ウクライナ戦乱のゆくえ
癸卯(みずのとう)2023年の新しい年が明けました。
みなさまにとりまして今年一年が佳き年になりますことをお祈りいたします。
本年もよろしくお願い申し上げます。
世界で戦乱が繰り広げられるなかでの年明けとなりました。
日本は戦争の悲惨さと愚かさを誰よりもよく知る国の一つです。
現代の戦争では一般市民が戦争に巻き込まれ、多大の被害に直面することが大きな特徴になっています。
ウクライナで一般市民の犠牲が生じていることが報じられますが、日本では第二次大戦中に日本各地の大都市で大規模空襲が挙行され、さらに原爆が投下されて驚くべき数の一般市民が犠牲になりました。
一般市民に対する殺戮行為は国際法によって戦争犯罪とされますが、戦争後に戦争犯罪を問うのは戦勝国です。
戦勝国の戦争犯罪は問われることがありません。
日本国民に対する殺戮行為が戦争犯罪として追及されることはありませんでした。
ウクライナにおける戦乱について、日本のメディアはウクライナを正義とし、ロシアを悪と位置付けて、ウクライナがロシアに対して軍事攻撃で勝利することを支援するスタンスを取っていますが、これが正しい姿勢だと言えるでしょうか。
ウクライナが軍事的にロシアを撃破するためには戦闘の拡大を避けることができません。
両国が総力戦に移行すれば、比例して被害が拡大することを避けることができません。
「聞く力」という言葉が使われていますが、ロシアの主張にも耳を傾ける必要があります。
ウクライナで問題が発生したのは今年になってではありません。
1991年に独立したウクライナは独立してまだ31年しか経過していない歴史の非常に浅い国です。
ウクライナはかつてのソ連邦を構成する一つの共和国でした。
この時代の国境線には大きな意味がありませんでした。
ソ連邦の一つの地域に過ぎず、国境線は便宜的に定められていたに過ぎません。
そのウクライナは特異な特性を有していました。
西北部に居住する住民と南東部に居住する住民に大きな相違が存在しているのです。
西北部はウクライナ人、カソリック、ウクライナ語を基本属性とします。
南東部はロシア人、ロシア正教、ロシア語を基本属性とします。
この属性の相違が存在することがウクライナの大きな特徴になっています。
このことについて、元米国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏は次のように指摘しました。
「この国で一方の地域が他の一方の地域を支配しようとすれば必ず分裂か戦争になる」
このような特性をウクライナが保持していることを踏まえることが必要です。
ウクライナでは当初、親ロシア政権が樹立されましたが、2004年と2014年に親ロシア政権が反ロシア政権に差し替えられる政変が生じています。
いずれも、米国が地下工作を展開して親ロシア政権を反ロシア政権に差し替えたものでした。
とりわけ、2014年の政変は暴力行為を伴う野蛮な政権転覆でした。
その内実を知る手がかりを与えてくれているのがオリバーストーン監督の『ウクライナ・オン・ファイヤー』というドキュメンタリー映画です。
ウクライナ問題について考察する際に、この映画を視聴し、問題の背景を知ることは必須であると思います。
2013年11月21日から2014年2月22日にかけて発生したウクライナにおける市民運動は、当初は平和的活動でしたが、途上から暴力行為がエスカレートし、14年2月22日にはデモ隊とウクライナ警官が多数狙撃される暴力革命騒乱に転じました。
この暴力化を工作したのが米国および米国と連携するウクライナネオナチ勢力でした。
ウクライナの親ロシア政権は米国が画策した暴力革命によって破壊されました。
この暴力革命によって創設された新政府=非合法政府がウクライナ東部のロシア系住民に対する弾圧、人権侵害行為を断行したのです。
ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク地域のロシア系住民が抵抗して、ウクライナ東部で内戦が発生しました。
この内戦を収束するために2015年にミンスク合意が締結され、国連安保理で決議されました。
東部2地域に高度の自治権を付与することにより、内戦を収束することが取り決められました。
ウクライナのゼレンスキー政権がミンスク合意を誠実に履行していればウクライナの戦乱は発生していません。
ところが、ゼレンスキー大統領はミンスク合意を一方的に破棄する行動を加速し、ロシアとの軍事対決路線を鮮明にしたのです。
その延長線上でウクライナ戦乱が勃発したのです。
このような経緯を踏まえたときに、ウクライナがロシアを軍事的に撃破することを応援することが正しい対応と言えるのでしょうか。
私たちが求めるべきゴールは平和と安定です。
メディアが主導するウクライナによる戦乱拡大路線に洗脳されることなく、平和と安定を確保するための方策を日本国民が提唱することが求められていると思います。
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