軍備増強したら平和になるのか
日本の軍事費を倍増させる動きが加速している。
かつてGDP比1%という縛りが課せられていた。
この縛りが破棄されて一気に2倍の規模に軍事費が増額されようとしている。202年から202年の5年間の軍事費総額を43兆円に増大させる方針が定められようとしている。
単純計算すれば1年間の軍事費が8.6兆円に達することになる。
日本の中央政府の1年間の社会保障以外のすべての政策支出合計金額は34兆円。
公共事業から科学技術振興、文教、エネルギー、などすべての政策支出の合計値が34兆円である。
この金額と比較したときに8.6兆円がいかに突出した金額であるかがよくわかる。
軍事費増大は何のためのものなのか。
日本の安全保障のためだという。
しかし、軍事費を激増させることが本当に日本の安全保障につながるのか。
全国の公立小中学校の給食費を無償にするための費用は約5000億円。
軍事費を倍増させる資金の余裕があるなら、給食費を無償化するべきだ。
軍事費増大は日本の安全保障を目的とするものではない。
軍事産業と軍事産業に関与する関係者の利益増大を目的とするものだ。
軍備を拡大したら平和になるのか。
逆である。
軍備拡大は相互に連鎖する。
世界的に軍事費が増大し、大量殺戮につながる戦争が誘発されることになる。
軍事費拡大ではない平和を確立する方策を実行すべきだ。
軍事費増大が緊張関係を増大させる原因になる。
日本では中国の脅威が喧伝されるが、なぜ日本は中国との友好関係を高めようとしないのか。
中国政府の行政対応に対しても日本のメディアは好意的な見方を排除する。
中国はコロナに対して厳格な姿勢を示してきた。
さまざまな対応があり得るが、中国は中国の判断で一つのやり方を示してきた。
他国が中国政府の方策をいたずらに攻撃する必要は乏しい。
国と国が良好な関係を維持する方策の基本は
相互尊重、相互理解、相互信頼だ。
これは人間関係も同じ。
相手を尊重し、相手を理解し、相手を信頼すること。
信頼するところに到達するには時間を要するが、相手を尊重するところから始めなければ良好な関係は構築されない。
何度も指摘するが、日中関係が急激に悪化したきっかけになったのは2010年9月7日の尖閣海域中国漁船衝突事件。
この事件が発生した原因は日本側にある。
日本と中国の国交正常化交渉の過程で、尖閣諸島の領有権問題で衝突した。
このとき、日中両国政府は領有権問題が存在することを認めた上で、その解決を将来に委ねることで合意した。
いわゆる「棚上げ合意」だ。
このことを明記しているのが1979年5月31日付の読売新聞社説。
領有権問題が存在することを日中両国政府が認めている。
ところが、2010年6月8日に菅直人内閣は、
「尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権問題は存在しない」
とする政府答弁書を閣議決定した。
この閣議決定に基づき尖閣海域の中国漁船への対応を日本政府が一方的に変更し、中国漁船衝突事件を創作した。
この事件を契機に日本では「中国の脅威」が喧伝され、野田佳彦内閣は尖閣諸島の国有化まで実行した。
日本が逆の立場だったらどうなのか。
日本政府は烈火のごとくに激怒し、相手国を非難する世論が沸騰するだろう。
こうしたプロセスを経て日中関係悪化が創作され、その延長線上に軍事費激増の政策が推進されている。
どこかおかしくないか。
日本人が日本をひいき目で見ることは理解できるが、国際社会において近隣諸国と相互尊重、相互理解を深めるためには、他国に対する誠実な対応が必要である。
過去の歴史事実を直視することが必要不可欠だ。
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