バイデン・スタグフレーション
バイデン政権の2年間についての評定が下される。
11月8日、米国中間選挙が投票日を迎えた。
世論調査はバイデン民主党の劣勢を示している。
全議席が改選される下院では過半数議席は共和党が確保する見通し。
100議席のうち、35議席のみ改選となる上院では過半数をめぐり共和、民主両党が拮抗する。
しかし、上院でも共和党が過半数議席を確保する可能性が浮上している。
中間選挙で共和党が勝利すればバイデン大統領の前途に暗雲が広がる。
バイデン氏の生年月日は1942年11月20日。
今月下旬に80歳になる。
2年後の2024年11月には82歳。
トランプ元大統領の生年月日は1946年6月14日。
トランプ氏も現在76歳の高年齢だが、バイデン氏よりは4歳年下。
トランプ氏の足取りは軽く、バイデン氏の足取りは覚束ない。
バイデン大統領再選の道のりは極めて厳しい。
これまでの議会は民主党が多数を握っていた。
上院では勢力拮抗だったが議長を副大統領が務めるため、民主党主導の議会運営を実現できた。
民主党は議会で昨年1月の連邦議会襲撃事件に関する広範な調査を実施したほか、中絶、医療、投票権などのテーマで公聴会を開いてきた。
しかし、議会主導権が共和党に握られれば様相は一変する。
民主党が主導権を握る議会では、政府機関閉鎖や国債デフォルトのリスク表面化が回避されてきた。
しかし、大統領所属政党が議会少数派に陥る場合、議会が年次歳出法案を承認せず、政府機関が一部閉鎖される事態が発生しやすくなる。
また、政府が予算を執行するには国債発行による財源調達が必要だが、政府債務上限の天井は低く、新たな国債発行による財源調達のためには債務上限を引き上げる議会承認が必要になる。
大統領所属政党が議会多数勢力でない場合、債務上限引上げ法の成立可否が綱渡り状況に陥ることが多い。
大統領府と議会との緊張関係が急激に高まることになる。
選挙には「まさか」という名の坂が付いてくることがあるから予断を持つことはできないが、中間選挙後に米国政治情勢が一変することは十分に考えられる。
共和党の前大統領ドナルド・トランプ氏が早期に次期大統領選への出馬意思を表明するとの憶測も広がっている。
共和党が中間選挙で勝利し、トランプ氏が大統領選出馬表明をする場合、バイデン氏は次期大統領選への意思表示を迫られることになる。
バイデン氏とすれば再選断念に追い込まれる事態を回避したいだろうが、選挙結果によっては外堀を埋められてしまう可能性もあるだろう。
中間選挙は2022年の最重要政治イベントになる。
現在の世界経済を覆う暗雲の正体は「バイデン・スタグフレーション」。
物価上昇=インフレ-ションと景気悪化=スタグネーションの同時進行をスタグフレーションと呼ぶ。
世界経済を襲っている経済現象がスタグフレーションだ。
スタグフレーションを加速させる主因になったのがウクライナ戦乱である。
このウクライナ戦乱は回避可能なイベントだった。
ウクライナ東部のドンバス地域で内戦が生じた。
この内戦を収束するためにウクライナとロシア、ドネツク・ルガンスク両地域、さらにフランス、ドイツが関与して「ミンスク合意」が制定された。
ドネツク・ルガンスク両地域に高度の自治権を付与することで内戦を収束させることで決着が付いた。
ウクライナ政府がこの合意を誠実に履行していれば問題は解決した。
ところが、ウクライナ政府がミンスク合意を踏みにじった。
ウクライナの背信行為を裏側で誘導したのがバイデン政権である。
バイデン大統領はウクライナにミンスク合意を一方的破棄させて、ロシアの軍事行動を誘発したと言える。
米国軍産複合体の利益のために戦乱が意図的に創出されたものと言える。
資源価格は急騰し、各国インフレ率が急激に上昇した。
インフレ進行が強度の金融引締めを生み出し、世界経済の下方屈折がもたらされようとしている。
戦争拡大推進のバイデン大統領の影響力低下は世界にとっての朗報になる。
中間選挙がウクライナ情勢に対して大きな影響を与える側面を見落とせない。
『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
https://amzn.to/3tI34WK
『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)
https://amzn.to/3eu8X53
をぜひご高覧ください。
Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
https://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第3356号
「米中間選挙とウクライナ戦乱」
でご購読下さい。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。
価格:1,870円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する
« 接種済感染者野放しの旅行支援 | トップページ | 教育基本法改悪と旧統一協会 »
「ウクライナ紛争」カテゴリの記事
- ウ戦争無知報道続けるメディア(2024.07.11)
- 大統領職に居座るゼレンスキー(2024.06.17)
- 和平協議拒絶するゼレンスキー(2023.11.23)
- 目を覆うばかりの米国ダブスタ(2023.11.11)
- 戦争に加担する現方針の誤り(2023.10.13)