原発稼働推進する愚かな人々
日本政府は原子力緊急事態宣言を解除していない。
原子力緊急事態宣言は2011年3月11日に発出された。
東日本大震災、津波災害により、東京電力福島第一原子力発電所は全署停電=ステーション・ブラックアウトに陥った。
全電源を喪失した。
原発が電源を喪失すれば原子炉を冷却することができなくなる。
2011年3月11日の早い段階で原発メルトダウンが想定された。
事態を受けて政府は原子力緊急事態を宣言した。
この原子力緊急事態宣言をいまなお解除できていない。
一般公衆の被曝上限は年間線量1ミリシーベルト以下と定められている。
ところが、福島の被災地では年間線量20ミリシーベルトの被曝が許容されている。
累積線量100ミリシーベルトの被曝で、がん死リスクが有意に上昇することが確認されている。
年間線量20ミリシーベルトの被曝を5年続ければ、累積線量は100ミリシーベルトに到達する。
法律が定める被曝上限を超える被曝が放置されている。
2011年の原発事故から11年の時間が経過したが、日本は問題をまだ解決できていない。
フクシマ原発事故によって「原発絶対安全神話」は崩壊した。
「核燃料は5重の防護壁に守られ、打ち破られることはない」
との「絶対安全神話」が提示されていたが、いとも簡単に「絶対安全神話」は崩壊した。
原発が電源を失えば核燃料を冷却することが不能になり、原発が暴走する。
フクシマ原発事故は多くの奇跡的偶然が重なり、過酷事故を免れたが、この奇跡的偶然が発生していなければ、その被害は想像を絶するものになっていた。
同種の事故が発生する恐れが存在する。
最大の問題は原発の耐震性能が低いこと。
地震の揺れの強さに対する耐震性能が不足している。
福島事故以前、日本の原発の耐震設計基準はほとんどが400ガル程度に定められていた。
福島事故を受けて基準が引き上げられたが、それでも耐震設計基準は450ガルから800ガルの水準までしか引き上げられていない。
しかし、日本では1500ガルを超える揺れの地震が頻発している。
その1500ガルを超える揺れは日本列島のすべての場所で発生する可能性がある。
日本の原発の耐震設計基準が400ガル程度に定められていたのは、かつて、関東大震災の震度が7で、ガル数は350ガルないし400ガル程度だと思われていたことによる。
100年に一度、1000年に一度しか発生しないような巨大地震でも、揺れの強さを示すガル数は400ガル程度と考えられていた。
この前提の上に、400ガル程度の耐震設計基準で原発が建造された。
ところが、この前提が事実とかけ離れていることが判明した。
現在では震度7が1500ガル以上に相当することが判明しており、しかも、1500ガルを超える地震動が頻繁に観測されていることが明らかになっている。
阪神淡路大震災を契機に全国に多数の地震計が置かれるようになり、地震の正確なガル数が計測されるようになった。
その結果、1500ガルを超える地震が頻発している事実が明らかになった。
しかし、日本政府はほぼすべての原発耐震設計基準を700ガル以下に留めたままである。
強い揺れの地震が原発を襲い、原発が電源を喪失して過酷事故を引き起こす可能性が存在する。
原発の停止、廃止が必要だ。
ところが、岸田内閣は原発を停止するどころか、再稼働を推進する姿勢を示す。
フクシマの事故を経験しながら、同じ過ちを繰り返す方向に行政を運営することは万死に値すると言って過言でない。
福井地方裁判所の樋口英明裁判長(当時)が大飯原発の耐震設計基準が不十分であることを理由に運転差止命令を発したのは当然のことだった。
誰が判断しても分かる論理だ。
それにもかかわらず、原発を推進する人々がいる。
原発マネーに目がくらんだ人々。
問題は日本国民がどう判断するのかだ。
フクシマの事故を絶対に繰り返さない。
こう考えるなら、耐震設計基準が不十分な原発を稼働させることをやめさせることが必要。
国民が判断し、政治にやらせなければならない。
国民の責任が問われていることを忘れてはならない。
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