国は十分な食料への権利を守れ
10月7日金曜日、午後2時に「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」第8回口頭弁論が開かれた。
午後1時に開始された門前集会には、降りしきる冷雨のなか、多数の市民が参集した。
コロナ規制緩和で傍聴席は100席に拡大されたが、これを上回る市民が参集。
傍聴券配布の抽選が実施された。
法廷では原告側から最終意見陳述が行われ、第一審は結審した。
判決は2023年3月24日金曜日、午後3時開廷の法廷で言い渡される。
被告の国は、当初、提訴に対して一切の反論を示さず、訴えを黙殺する姿勢を示していたが、裁判所が実質審理を行い、原告が申請した証人に対する尋問などを実施する対応を示したことから、審理の終盤にかけて意見陳述の書面を提出するに至った。
裁判は、種子法廃止法が憲法違反であり、その無効を確認すること、種子法によって享受していた農家、消費者、採取農家の地位を確認すること、種子法廃止によって生じた損害の賠償を求めることを求めて、2019年5月24日に提訴されたことにより始動した。
3年5ヵ月の時間が費やされて結審に至った。
判決までに半年の時間が置かれる。
裁判長が交代し、10月7日公判で更新手続きが行われたが、裁判長に就任した品田幸男判事が訴訟内容を精査するための時間が確保されたと見られる。
裁判所が法と良心に基づき、適正な判断を示すことが求められる。
種子法廃止は「食料への権利」という根源的な基本的人権を侵害するもの。
日本国憲法に「食料」という言葉はないが、生存権を定めた日本国憲法第25条には
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
の定めがある。
「すべての生活部面」のなかに「食」が入ることは明らか。
日本は1979年に「国際人権規約」を批准している
そのなかの「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」第11条に次の定めが置かれている。
第11条
1 この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。
2 この規約の締約国は、すべての者が飢餓から免れる基本的な権利を有することを認め、個々に及び国際協力を通じて、次の目的のため、具体的な計画その他の必要な措置をとる。
(a) 技術的及び科学的知識を十分に利用することにより、栄養に関する原則についての知識を普及させることにより並びに天然資源の最も効果的な開発及び利用を達成するように農地制度を発展させ又は改革することにより、食糧の生産、保存及び分配の方法を改善すること。
(b) 食糧の輸入国及び輸出国の双方の問題に考慮を払い、需要との関連において世界の食糧の供給の衡平な分配を確保すること。
基本的人権は尊重されなければならないが、生存権の保障については、国家の干渉を受けない自由権と異なり、国家の作為によって保障される社会権であるため、どの水準の保障であれば違憲になるという絶対的基準が存在するわけではない。
したがって、違憲を判定するための基準を考察しなければならないことになる。
この点に関して憲法の専門家は違憲判定の二つの基準を想定している。
第一は、生存権を保障するために一度具体化した制度を後退させることが、正当な理由がない限り憲法違反になるとする基準。
多くの憲法学説がこの主張を支持している。
第二は、立法過程において正当な手続きがとられているかどうか。
立法過程に瑕疵があると認められる場合には、「立法裁量を逸脱して食料への権利を侵害した」として違憲の判断が成り立つとの主張である。
今回の裁判において原告弁護団は、この二つの基準に照らして種子法廃止が憲法違反であることを精緻な論理構成と十分な証拠提示によって立証した。
日本の食料自給率はカロリーベースで38%。
10月7日口頭弁論での原告代理人岩月浩二弁護士による意見陳述では日本の穀物自給率28%という数値も提示された。
世界の気候が不安定化し、農産物飢饉発生の可能性が上昇するなか、日本の食料自給率は危機的な状況にあり、種子法廃止は国民の「十分な食料への権利」を深刻に脅かすもの。
裁判所が「権力の番人」ではなく「法の番人」として適正な司法判断を示すことを強く求める。
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