弱肉強食元凶の消費税
所得税では、夫婦子二人で片働きの場合、子の年齢等にもよるが年収350万円程度までは課税ゼロである。
生存権を確保するため、収入金額に対する各種控除が行われ、課税所得がゼロとされるからだ。
収入金額が一定水準に達するまでは税負担が生じない。
課税が発生する収入水準を「課税最低限」と呼ぶ。
上記の例では350万円が課税最低限ということになる。
同時に所得税制度では「能力に応じた負担」が大原則に置かれている。
このため、所得の少ない人の税率は低く、所得の多い人の税率は高い。
税負担率累進の制度が採用されている。
敗戦後日本では所得税中心制度が採用された。
資本主義の弊害を是正する制度が採用されたわけだ。
所得税においては原則として「総合課税」が中核に置かれた。
すべての所得を一本化して、その所得水準に応じて課税が行われる。
高額所得者の税負担率は高く、所得の少ない人の税負担率は低く設定された。
収入金額が少ない人には税負担が生じない仕組みが採用された。
これと真逆の効果を有するのが消費税。
消費税は富裕層と所得の少ない階層、所得のない階層にまったく同じ税率を適用する。
富裕層にとって消費税は優しく、所得の少ない層にとって消費税は過酷だ。
国税庁が発表する民間給与実態調査は1年を通じて勤務した給与所得労働者の55%が年収400万円以下、22%が年収200万円以下であることを示す。
労働者の半数以上が年収400万円以下、2割以上が200万円以下である。
年収200万円の労働者は収入金額の全額を消費に充てるケースが多い。
金融広報委員会による「家計の金融行動に関する世論調査(2021年)」によると単身世帯の33.2%は金融資産ゼロ。
一世帯当たりの金融資産保有額平均値は1062万円だが、分布の中央値は100万円。
平均値が高いのは一握りの富裕層が超高額の金融資産を保有しているためで、この一握りの富裕層の保有資産額が全体の平均値を引き上げている。
圧倒的多数の単身世帯は金融資産ゼロや保有金融資産100万円の状況に置かれている。
年収200万円の人がその全額を消費に充てると、収入金額の10%近くが消費税でむしり取られてしまう。
生存権を奪う過酷な課税。
これが消費税の実態だ。
その消費税は1989年度に導入された。
財政健全化のため、社会保障制度維持のため、と説明されてきた。
1989年度から2019年度までの31年間に消費税で約400兆円の税金が吸い上げられた。
しかし、同じ期間に法人税負担が約300兆円、所得税・住民税負担が約275兆円も軽減された。
消費税収の400兆円は財政再建や社会保障拡充に1円も使われていない。
消費税収の400兆円のすべてが法人税負担軽減、所得税・住民税負担軽減に使われてしまったのだ。
2007年の政府税制調査会は法人の税及び社会保険料負担について国際比較を行っている。
政府税制調査会報告は日本の法人の「税及び社会保険料負担」は欧米と比較して高くないとの結論を示した。
その含意は、日本における法人税減税の必要はないというものだった。
ところが、現実には2012年度以降、法人税減税が怒濤のごとくに実施された。
野田佳彦氏が2009年の国民との約束を一方的に破棄して、2012年度に消費税大増税法を強行制定した。
消費税大増税を押し通すための援軍を確保するために、大資本に対して法人背減税という利益供与が実施されたのだ。
これを契機に民主党は国民支持を完全に喪失。
野田佳彦氏は2012年12月に自爆解散を実行して政権を安倍自民党に横流しした。
年内総選挙に固執したのは消費税増税への反対を貫いた真正民主党勢力である「公民の生活が第一」=「未来の党」に多額の政党交付金が公交付されるのを阻止するためだったと考えられる。
野田佳彦氏には国賊の称号が似つかわしい。
安倍晋三氏と自分自身を自画自賛する野田氏の国会での追悼演説を賞賛する言説は不当極まりない。
噴飯ものの国会演説だった。
その消費税について立憲民主党が2021年10月総選挙に際して、減税案を提示した。
このことについて、当時の党代表であった枝野幸男氏が「間違いだった」と発言した。
立憲民主党の凋落は必然。
次の衆院総選挙で解党に追い込むのが適正だ。
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