岸田内閣への評価示す沖縄知事選
沖縄県知事選が9月11日に投票日を迎える。
岸田内閣が全力を投入して戦っている選挙。
県知事選であるから沖縄県の問題が争点の中心だが、岸田内閣に対する主権者の評価も選挙結果に重大な影響を与える。
立候補しているのは
無所属現職の玉城デニー氏=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦
無所属新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏=自民、公明推薦
無所属新人で前衆院議員の下地幹郎氏
前任の翁長雄志氏とともに玉城デニー氏は辺野古米軍基地建設に反対している。
米国は普天間の返還と引き換えに辺野古米軍基地建設を求めてきた。
当初、日本政府は辺野古米軍基地建設を容認したが2009年に樹立された鳩山由紀夫内閣が普天間の県外・国外移設方針を示した。
この方針は撤回を迫られ、後継の菅直人内閣以降の内閣が辺野古米軍基地建設容認の姿勢を示してきた。
しかし、基地建設の現場となる沖縄は米軍基地建設を容認していない。
2006年に沖縄県知事に就任した仲井眞弘多氏は普天間基地の県外移設を公約として知事選挙に当選したが、第2次安倍内閣発足後の2013年12月25日に安倍晋三首相と会談後に転向し、辺野古埋め立て承認を発表した。
辺野古米軍基地建設容認に転向した仲井眞弘多氏は2014年11月の知事選において、オール沖縄で辺野古新基地建設反対を掲げた翁長雄志氏に10万票の大差をつけられて落選した。
翁長氏の死去に伴い実施された2018年9月30日投開票の知事選で辺野古米軍基地建設反対の公約を掲げた玉城デニー氏が佐喜眞淳氏に約8万票の大差をつけて当選した。
2006年の知事選以来、沖縄県民は沖縄に新たな米軍基地を建設することに反対し続けてきた。
そのなかで「転向」したのが仲井眞弘多氏。
「転向」の結果、仲井眞氏は2014年の知事選で大敗した。
2014年の知事選で当選した翁長雄志氏は辺野古米軍基地建設阻止に向けての行動力に欠ける側面があった。
永田町の政権与党との対立を回避したい勢力が支持勢力の一部に加わっていたからと思われる。
2012年の第2次安倍内閣発足後、とりわけ、2013年夏の参院選で衆参ねじれが解消されて以降、政権与党による暴走が加速した。
国会を支配する政権与党は札束で頬を叩く対応を沖縄に対して強めた。
その結果、政権与党とのつながりを希求する勢力を中心に、辺野古米軍基地建設阻止のオール沖縄から離脱する動きが拡大してきた。
辺野古を擁する沖縄県名護市の市長選では2018年、2022年で辺野古米軍基地建設容認と見られる政権与党側の候補者が連勝した。
辺野古米軍基地建設を強行する政権与党・政府はカネの力で沖縄県民に基地建設を強要する姿勢を強めてきた。
この流れのなかで実施される今回の選挙。
辺野古米軍基地建設を阻止しようとする勢力は厳しい戦いを強いられてきたと言える。
しかしながら、政権与党に強い逆風が吹き始めている。
最大の転機になったのは岸田文雄首相が故安倍晋三氏の国葬を実施する方針を拙速に決定したこと。
国葬実施に法的根拠がない。
内閣府設置法が法的根拠であるとするのは詭弁。
内閣法制局の腐敗と堕落が鮮明だ。
内閣法制局は高度に専門的な見地から政府に対して法的判断を助言する機関である。
ところが、安倍晋三氏が首相である時代に内閣法制局の位置づけを変容させてしまった。
首相の意向に沿う判断を示す人物を法制局長官に起用するようになったから。
安倍氏が人事権を濫用して内閣法制局の機能を崩壊させた。
今回、内閣法制局は国葬に法的根拠がないことを内閣に示すべきだった。
ところが、法制局は国葬を実施するための口実として詭弁を提供した。
無論、最終的に責任を負うのは岸田文雄氏だ。
岸田氏は法的根拠のない国葬実施を国会審議も経ずに閣議決定した。
しかも、巨額の国費=血税が投入される。
国民の反発は日を追うごとに拡大している。
沖縄県知事選に政権与党の暴走に対する批判が影響を与えぬわけがない。
岸田内閣国葬NOの意思を含めて玉城デニー氏の再選に力を注ぐことが沖縄県民にとっての正しい行動になることは明白だ。
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