盗人猛々しい岸田内閣原発推進
岸田内閣が予想通り原発再稼働を全面的に推進し始めた。
7月10日の参院選まではあいまいな言い回しを続けたが、選挙が終わり発言を変えた。
8月24日に開いたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で岸田文雄首相は、
「原子力発電所については再稼働済み10基の稼働確保に加え、設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応をとっていく」
と述べた。
さらに、
「原発再稼働に向けた関係者の総力の結集、安全性の確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限の活用、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設など」
の項目が示された。
その理由として岸田首相が掲げたのは
「グローバルにどのような事態が生じたとしても国民生活への影響を最小化すべく、事前にあらゆる方策を講じること」
「電力需給逼迫の克服のため、あらゆる施策を総動員し、不測の事態にも備えて万全を期していくこと」
だった。
経産省演出の三文芝居が演じられている。
ウクライナの戦乱、盛夏を利用して、経産省は「電力危機」を演出してきた。
多少の暑さ、多少のエネルギー価格の高騰で電力の安定供給が揺らぐのは政府・経産省(エネ庁)のエネルギー政策の失敗を示すものでしかない。
自らの失策を原発の全面推進に利用するのは「盗人猛々しい」と言うほかない。
選挙前は牙を隠し、選挙が終わった途端に牙をむき出しにするのもえげつない。
しかし、この路線は見え見えだった。
岸田氏は昨年9月の自民党総裁選の時点から原発稼働推進に前のめりの姿勢を示してきた。
財政運営では財務省の言いなりになり、エネルギー政策では経産省・エネ庁の言いなりになる。
官僚支配政治に先祖返りしている。
フクシマ原発事故から11年の時間が経過し、フクシマの教訓を葬り去る岸田氏が次の悲劇をもたらすのは時間の問題と言える。
日本では現在、原子力緊急事態宣言が発出されている。
2011年3月11日に発出された「原子力緊急事態宣言」は発出されたままなのだ。
一般公衆の被曝上限は法律によって年間1ミリシーベルトに定められている。
ところが、「原子力緊急事態宣言」発出中である非常時の緊急対応として年間線量20ミリシーベルトの被ばくを国民に強要している。
国際的に確立されている科学的知見は累積被ばく線量が100ミリシーベルトを超えるとがん発症率が有意に上昇するというもの。
20ミリシーベルトの被ばくは5年が経過すれば累積線量100ミリシーベルトに達する。
この殺人的施策が実行されている。
フクシマ原発事故の発生原因は特定されていない。
津波によって原発電源が失われる前に、地震の揺れによって原発が損傷した疑いが払拭されていない。
最大の問題は日本の原発の耐震設計基準が十分でないこと。
福島事故以前、日本の原発の耐震設計基準はほとんどが400ガル程度に定められていた。
福島事故を受けて基準が引き上げられたが、それでも耐震設計基準は450ガルから800ガルの水準までしか引き上げられていない。
しかし、日本では1500ガルを超える揺れの地震が頻発している。
そして、その1500ガルを超える揺れは日本列島のすべての場所で発生する可能性がある。
日本の原発の耐震設計基準が400ガル程度に定められていたのは、かつて、関東大震災の震度が7で、ガル数は350ガルないし400ガル程度だと思われていたことによる。
100年に一度、1000年に一度しか発生しないような巨大地震でも、揺れの強さを示すガル数は400ガル程度と考えられていた。
このために、耐震設計基準が400ガル程度で原発が建造された。
ところが、この見解が事実とかけ離れた誤判断であることが判明した。
現在では震度7が1500ガル以上に相当することが判明しており、しかも、1500ガルを超える地震動が頻繁に発生していることが明らかになった。
阪神淡路大震災を契機に全国にたくさんの地震計が置かれるようになり、地震の正確なガル数が計測できるようになり、かつての知見の誤りが明白になった。
ところが、日本政府はほぼすべての原発耐震性能基準を700ガル以下に留めたまま。
いつフクシマ事故が再現されてもおかしくない状況にある。
この状況下で原発稼働を推進してよいわけがない。
『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
https://amzn.to/3tI34WK
ぜひご高覧ください。
Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
https://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第3285号「フクシマ事故再発は時間の問題」
でご購読下さい。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。
価格:1,870円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する
« 民主主義を破壊する国葬強行 | トップページ | 日本と世界の黒い霧 »
「原発再稼働」カテゴリの記事
- 全国民必須の原発基礎知識(2023.07.19)
- 原発稼働は人道に対する罪(2023.05.11)
- 地震で廃炉避けられぬ志賀原発(2023.05.06)
- この国の危機の本質(2023.03.12)
- 原発稼働推進する愚かな人々(2022.11.14)