軍事的緊張創作する軍産複合体
米国下院のナンシー・ペロシ議長が台湾を訪問した。
目的は米中間の緊張を高めることにある。
米国の最重要課題のひとつは「戦争の創出」。
戦争は軍産複合体が存続し続けるための生命線。
平和は天敵である。
10年に一度の中規模以上の戦争が必要不可欠。
このために、常に戦争の火種が絶えぬよう注意を払う。
平和が存在する場には新たに緊張を埋め込むことが必要。
ただし、戦場を米国にしてはならない。
戦場は常に米国本土から遠い場所に設定される。
ペロシ議長の訪台を中国は嫌う。
そのことを知った上であえて中国を訪問している。
台湾に関して中国は二つの事項を主張し続けてきている。
第一は、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であること。
第二は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること。
この二つの事項が中国にとって核心的に重要な事項である。
いまから50年前、1972年9月29日に日中両国政府が日中共同声明に調印して日中国交正常化を実現した。
この声明によって、
1.日本政府が「中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であると認める」
ことが確認された。
同時に、
2.「中華人民共和国政府が、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明し、日本政府が、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
ことが明記された。
「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
は、日本が台湾を中華人民共和国の一部であることを認めることとほぼ同じ意味を持つ。
その理由は次の事項にある。
ポツダム宣言第八項は「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルべク」と規定している。
そのカイロ宣言は、「台湾、膨湖諸島が中華民国(当時)に返還されることが対日戦争の目的の一つである」としている。
中華民国を継承した中華人民共和国が中国を代表する唯一の正統政府であることを日本政府が認めるのであるから、日中共同声明の文言は、
「日本政府が、台湾の中華人民共和国への返還を認める立場を堅持する」
との意味を持つことになるからだ。
したがって、日中共同声明の文言を踏まえる限り、日本政府は台湾が中華人民共和国の一部であることを認める立場に立つことになる。
これに対して米国の立ち位置はやや異なる。
1978年の「米中共同声明」で、米国は1を「recognize(承認)」し、2についての中国側の立場を「acknowledge(認知する)」とした。
日本政府の立場とは異なり、米国政府の立場にはあいまいさが残された。
これが米国の常套手段である。
将来に備えて、戦争を創作する余地を残したと言ってもよいだろう。
米国は1978年の米中共同声明と並行するかたちで1979年に「台湾関係法」を制定し、中華民国(台湾)との間に相互防衛条約を結んだ。
ただし、一方で、米国政府は中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府であることを「承認」しているから、台湾との間の相互防衛条約は宙に浮いた存在になっている。
ただし、日本政府とは異なり、台湾が中華人民共和国の不可分の一部であることを認めることはしておらず、これを否定する立場が存在し得る余地を残している。
しかしながら、米中共同声明で台湾が中華人民共和国の不可分の一部あるとする中国の立場を「認知」しているのだから、米国議会要人が台湾を訪問することが中国を強く刺激することを米国は十分に理解している。
中国が強く反発することをあえて実行することは米国の中国に対する「挑発」以外の何者でもない。
中国を挑発し、緊張を高めること。
これが米国軍産複合体の目的である。
まったく同じことがウクライナ問題でも観測されてきた。
緊張関係を意図的に創出し、戦乱を誘発しようとしているのが米国であるという現実を正しく認識しなければならない。
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