敗軍の将居座れば船は沈む
選挙で惨敗したのに党首が責任を明らかにしなければ政党は凋落の一途を辿る。
典型的な事例が2010年7月参院選後の菅直人氏。
菅直人内閣が発足したのは2010年6月8日。
鳩山由紀夫首相の辞任を受けて菅直人氏が権力を強奪した。
菅直人氏が首相に就任し、菅直人内閣を発足させた。
菅内閣は内閣発足の当日、重要な閣議決定を行った。
質問主意書答弁書の閣議決定だ。
その内容は
「尖閣諸島に関する我が国の立場は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないというものである。」
尖閣諸島の領有権問題については日中国交正常化協議に際して、日中両国が問題の存在を認め、その解決を将来に先送りすることで決着した。
これを「棚上げ合意」と呼ぶ。
「棚上げ合意」が存在したことを1979年5月31日付読売新聞が社説で明記している。
「尖閣諸島の領有権問題は1972年の国交正常化の時も、昨年夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる「触れないでおこう」方式で処理されてきた。
つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が存在することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた。
それは共同声明や条約上の文書にはなっていないが、政府対政府のれっきとした「約束ごと」であることは間違いない。
約束した以上は、これを遵守するのが筋道である。」
尖閣諸島の領有権問題が存在することを認め、日中両国政府はその解決を将来に先送りすることを決めた。
この「棚上げ合意」を踏まえて、尖閣海域の漁船取締り方式等について、日中両国が協定を締結した。
これが日中漁業協定である。
2000年6月1日に発効した日中漁業協定では、尖閣海域が含まれる北緯27度以南の海域について、
「北緯27度以南は、新たな規制措置を導入しない。
現実的には自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行う。」
と定めた。
1997年11月11日付の小渕恵三外相(当時)書簡では、
「日本国政府は、日中両国が同協定第6条(b)の水域における・・・中国国民に対して、漁業に関する自国の関係法令を適用しない」
と確約した。
尖閣海域の漁船取締りは日中漁業協定に準拠して実施されてきた。
ところが、2010年6月8日、菅直人内閣は尖閣諸島をめぐる領有権問題は存在しないと閣議決定した。
閣議決定を受けて、海上保安庁は中国漁船に対する取り締まり方法を変更した。
その結果として引き起こされたのが2020年9月7日の中国漁船諸突ならびに船長逮捕事件である。
それまでは、海保巡視船が中国漁船を追い払うだけだったものを、9月7日には、1隻の中国漁船を海保巡視船が接触するほど追い上げ、あげく漁船と他の巡視船がぶつかり(あるいはどちらかがぶつけ)、接触から3時間も追い回した末に中国漁船と乗組員を確保し、船長を逮捕した。
この事件によって「中国脅威論」が喧伝された。
この年の11月28日に実施された沖縄知事選では自民、公明、みんなの党が推薦する仲井眞弘多候補が日本共産党、社会民主党、国民新党、新党日本、沖縄社会大衆党、政党そうぞうが推薦する伊波洋一候補を破り、再選を果たした。
この年の2月2日に来日した米国のカート・キャンベル国務次官補と会談した前原誠司氏は、キャンベル氏に、小沢一郎氏を信用するなと発言するとともに、年末の沖縄知事選で伊波洋一氏が選出されるリスクがあることを指摘したと伝えられている。
菅直人内閣は米国の指示に従い、尖閣諸島をめぐる領有権問題が存在しないとの閣議決定を行い、尖閣海域の中国漁船取締り方法を変更して中国漁船衝突事件を引き起こした。
中国脅威論を煽り、11月沖縄県知事選での伊波洋一候補選出を阻止したと見られる。
菅直人内閣は内閣発足直後の2010年6月17日に参院選公約発表会見を行った。
会見で菅内閣は消費税率を10%に引き上げることを公約に掲げた。
そして、参院選で大惨敗した。
参院選実施前に枝野幸男民主党幹事長は参院選が菅直人内閣に対する信任投票になることを明言した(毎日新聞インタビュー)。
その参院選に民主党が大惨敗した。
菅直人氏は直ちに職を辞して責任を明らかにする必要があった。
ところが、菅直人氏はその後、1年間も党代表、首相の座に居座った。
この結果として民主党の凋落が一気に進行したのである。
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