« 黒田日銀総裁更迭が国民的正義 | トップページ | 資本主義を民主主義に転換する »

2022年6月 9日 (木)

ロシアが悪なら米国は最悪

ウクライナ戦乱の本質は何か。

本質の見極めが重要だ。

見かけ上は2月24日にロシアがウクライナ領域での軍事行動を全面的に展開したから、「ロシアによる侵攻」とされている。

しかし、この直前の2月16日以降、ウクライナ軍が東部地域に対して大規模軍事攻撃を実施したことも明らかになっている。

ロシアの行動はミンスク合意を一方的に破棄するウクライナへの対抗、および東部「独立」共和国からの集団的自衛権行使要請に基づく行動との説明も存在する。

ウクライナ東部の2共和国は国際承認されていない。

このことから、ロシアの行動が国際法違反に該当するとの見解が欧米からは提示されている。

いずれにせよ、紛争の解決に武力を用いることは回避されねばならない。

国連憲章に反する行為。

この意味でロシアが批判されることには根拠がある。

ただし、国連憲章に反して紛争の解決に武力を行使してきた国はロシアに限らない。

国連憲章違反の軍事行動を展開してきた筆頭は米国である。

2003年に勃発したイラク戦争は米国による侵略戦争だった。

イラク文民の犠牲はウクライナ戦乱の比ではなかった。

しかし、米国を「悪の帝国」として批判する論調は広範には観察されなかった。

人気ブログランキングへ

ウクライナ戦乱の背景に2004年と2014年のウクライナ政権転覆がある。

政権転覆を工作したのは米国である。

ウクライナの親ロ政権を米国が工作活動によって転覆した。

2004年政変は大統領選挙で選出された大統領を引きずり下ろすため、「選挙に不正があった」との主張が押し通され、強引に再選挙が実施され、政権が転覆された。

2014年政変は事実上の軍事クーデターである。

この軍事クーデターを工作したのも米国である。

米国はウクライナに潜伏するネオナチ勢力と結託して、市民による平和デモを暴力デモに変質させ、暴力革命によってウクライナ政府を転覆した。

創設された新政府は憲法の手続きによらずに樹立された。

この非合法政府を米国が率先して国家承認した。

ウクライナ東部で独立を宣言した二つの共和国を欧米は非合法政府だと主張するが、合法であるか非合法であるかは依って立つ立場によって変化する。

米国が二共和国を非合法政府と位置付けるなら、ロシアがウクライナ政府を非合法政府と位置付けることも可能になる。

2014年に樹立されたウクライナの非合法政府は政府樹立時点から東部ロシア系住民支配地域に対する弾圧、人権蹂躙、軍事攻撃を展開した。

これに対して東部二地域の独立共和国が応戦し、内戦が勃発した。

クリミアでは住民が投票によってロシア帰属を決定した。

人気ブログランキングへ

ウクライナ内戦を収束させるために協議が行われミンスク合意が制定された。

2015年に制定されたミンスク2において東部二地域に対する高度な自治権付与が決定された。

2019年に大統領に就任したゼレンスキーはミンスク合意履行による東部和平の確立を公約に掲げた。

ところが、ネオナチ勢力に代表されるウクライナ民族主義者はミンスク合意履行に強く反対した。

2020年米大統領選でバイデンが当選すると、ゼレンスキーのスタンスが明白に変質した。

ゼレンスキーはミンスク合意履行による和平確立の方針を撤回。

ミンスク合意を破棄してロシアと軍事対決する方針を明示した。

2021年3月に発出した大統領令で軍事安全保障戦略を決定。

ロシアとの軍事対決路線を鮮明にするもので、クリミア武力奪還の方針を示すものだった。

同時にウクライナはNATO加盟の方針を鮮明にした。

2021年10月にはドローンによる東部二地域に対する軍事攻撃も実行した。

ウクライナが善でロシアが悪という図式は現実に適合しない。

ウクライナの対ロシア軍事対決路線を尖鋭化させ、ロシアの軍事行動を誘発した影の主役は米国である。

ウクライナ戦乱勃発は影の主役である米国が熱望し、誘導した事象であることを見落としてはならない。

『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
516txuu715l_sy291_bo1204203200_ql40_ml2_
https://amzn.to/3tI34WK

ぜひご高覧ください。

Amazonでの評価もぜひお願いいたします。

人気ブログランキングへ

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」

https://foomii.com/00050

のご購読もよろしくお願いいたします。

上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。

https://foomii.com/files/information/readfree.html

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第3242号「大統領弾劾に直面するバイデン」
でご購読下さい。

『アベノリスク』(講談社)
動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。

2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

 

価格:1,870円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

 

価格:1,650円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

 

価格:1,650円 通常配送無料

出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する

 

価格:994円 通常配送無料

出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する

 

価格:907円 通常配送無料

出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する


日本経済を直撃する「複合崩壊」の正体

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:発行:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:発行:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

「国富」喪失 (詩想社新書)

価格:994円 通常配送無料

出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する


泥沼ニッポンの再生

価格:1,512円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する

« 黒田日銀総裁更迭が国民的正義 | トップページ | 資本主義を民主主義に転換する »

ウクライナ紛争」カテゴリの記事

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2025年5月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ