« 特定価値観強要は民主主義の否定 | トップページ | 外交における信義と公正さの重要性 »

2022年5月24日 (火)

格差是正レーン逆走始めた岸田内閣

岸田内閣の木原誠二官房副長官が5月22日放送の民放番組に出演し、株式の売却益などにかかる「金融所得課税」の見直しについて議論の先送りを示唆した。

「金融所得課税」の是正は岸田首相が提示する「分配問題」に関しての一丁目一番地とも言える施策。

昨年9月の自民党総裁選で岸田氏は金融所得課税見直しを大きく掲げた。

岸田氏が掲げる施策は「新しい資本主義」。

「資本主義」がもたらす諸問題、弊害を是正するとの意味を込めているのだと窺われるが、その一丁目一番地の施策を闇に葬る方向を示している。

岸田氏は自民党総裁選では「分配問題」を前面に掲げたが、金融所得課税への言及もあり、株価が下落したことを受けて「分配も成長も」に発言を変えた。

首相就任後はこの発言がさらに「まずは成長」に変化した。

「成長優先」、「成長重視」なら安倍・菅路線と変わらない。

より重大な問題は「成長重視」だった安倍・菅路線で日本経済は成長率引き上げにも失敗したこと。

岸田首相は5月の連休にロンドンを訪問し、金融街シティーで講演した。

その講演内容については、

5月7日付ブログ記事
「岸田資産所得倍増プランで目が点」
https://bit.ly/3sP4VIc

メルマガ記事
「対米隷属岸田内閣支える凋落野党」
https://foomii.com/00050

に記述した。

人気ブログランキングへ

講演で岸田氏は「日本経済はこれからも力強く成長を続ける」と強調したが、日本経済はこれまで力強く成長していない。

この発言ひとつで言葉の信用を失う。

「これからは力強く成長する」と発言するなら意味もあるが、世界最悪の経済停滞の実績を携えて「これからも力強く成長を続ける」では失望しか生まれない。

日本のGDPがピークを記録したのは1997年。

そこから25年の時間が経過したが、25年間の日本経済の成長はゼロにも届かない。

ドル換算の日本の名目GDP水準は1995年を100とすると2020年は91・

米国が273に達し、中国が2034に達するなかで、日本だけが25年前のGDP水準を下回った。

一人当たりGDPで、西暦2000年に日本は世界第2位の地位に位置したが、2020年には世界第23位にまで転落した。

増加しなかったのはGDPだけではない。

労働者の賃金もまったく増加していない。

OECDが公表している購買力平価換算の一人当たり平均賃金で日本は韓国にも追い抜かれた。

一人当たり実質賃金指数は第2次安倍内閣が発足した2012年から2020年までの8年間で5.6%も減少した。

日本経済の問題は「成長できない経済」、「減少し続ける労働者賃金」の二つに集約されている。

人気ブログランキングへ

この日本経済実績があるなかで首相が「これからも力強い成長を続ける」と述べたのでは相槌を打つことすら不可能だ。

あまりにもお粗末なプレゼンテーションだ。

ロンドン講演の驚愕点はこれだけではなかった。

岸田氏が掲げる「新しい資本主義」とは一体何なのか。

根本的な疑問を浮かび上がらせる発言を示した。

それが講演の目玉施策とも言える「資産所得倍増プラン」だ。

岸田氏は貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現すると述べた。

具体的には少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など政策を総動員し「資産所得倍増プラン」を進めるとした。

積極的な資産運用へのシフトを推進するから、金融所得課税の適正化は、その妨害になると主張したいのだろう。

岸田氏は日本の所得分布の歪み、資産の賦存状況の歪みをまったく認識していないようだ。

この歪みこそ「日本資本主義の歪み」であり、「新しい資本主義」とは、その歪みの是正を狙うものであるはずだが、岸田氏はついに逆走し始めた。

金融広報委員会による「家計の金融行動に関する世論調査(2021年)」によると単身世帯の33.2%が金融資産ゼロ。

単身世帯一世帯当たりの金融資産保有額平均値は1062万円だが、分布の中央値は100万円。

ほんの一握りの者が多額の金融資産を保有しているだけで、圧倒的多数の国民の金融資産はゼロから100万円程度の状況にある。

この状況下での「資産所得倍増」や「金持ち優遇金融所得課税の是正先送り」の方針は、分配格差是正に岸田氏が取り組む意思を持ち合わせていないことを表出するもの。

こんな政治が続けば庶民の暮らしは悪くなる一方だ。

自民党安泰と見られている参院選だが、主権者国民は岸田自民に鉄槌を食わらせる必要があると言える。

『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
516txuu715l_sy291_bo1204203200_ql40_ml2_
https://amzn.to/3tI34WK

ぜひご高覧ください。

Amazonでの評価もぜひお願いいたします。

人気ブログランキングへ

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」

https://foomii.com/00050

のご購読もよろしくお願いいたします。

上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。

https://foomii.com/files/information/readfree.html

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第3229号「細田博之衆院議長罷免を免れない」
でご購読下さい。

『アベノリスク』(講談社)
動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。

2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

 

価格:1,870円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

 

価格:1,650円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

 

価格:1,650円 通常配送無料

出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する

 

価格:994円 通常配送無料

出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する

 

価格:907円 通常配送無料

出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する


日本経済を直撃する「複合崩壊」の正体

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:発行:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:発行:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

「国富」喪失 (詩想社新書)

価格:994円 通常配送無料

出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する


泥沼ニッポンの再生

価格:1,512円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する

« 特定価値観強要は民主主義の否定 | トップページ | 外交における信義と公正さの重要性 »

岸田文雄内閣」カテゴリの記事

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2022年6月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ