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2022年5月16日 (月)

軍備増強論議の前に必要なこと

ウクライナで戦乱が生じ、防衛力強化や敵基地攻撃の推進など、軍備増強の話ばかりが拡散されている。

また、日本国憲法についても9条改定や緊急事態条項創設などを煽る主張が流布されている。

しかし、問題の本質を考察すると、現在の論議は見当外れの感を否めない。

ウクライナで戦乱が発生した。

いかなる事情があるにせよ、戦乱の発生は望ましいことではない。

戦乱を仕掛けたロシアが批難されるのは順当である。

しかしながら、ロシア=悪、ウクライナ=善、米国=善という図式には違和感がある。

戦乱が発生してしまったいま、最優先されるべきことは、戦乱の一刻も早い収束、平和の回復だ。

戦乱が発生し、手を出したのがロシアだから、ロシアだけが一方的に悪で、悪のロシアをせん滅するためには軍事力を総結集するべきだとする現在の論調には同意しがたい。

このようなことが起こるから軍備増強が重要で、強固な軍事同盟に加盟することが必要不可欠とする議論も、もっとも大切な原点を見失ったものであると感じられる。

もっとも大切な原点とは何か。

それは、戦乱を引き起こさないこと。

戦乱が起きたあとのことだけを論じ、戦乱で勝利を得るには軍備の強化だけが必要というのは問題の本質的な解決をもたらすものでない。

それどころか、事態を一段と悪化させることにつながる。

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もっとも大切な原点とは「戦乱を引き起こさないこと」。

戦乱を引き起こさない方策を考察するには、戦乱がなぜ発生したのかについての徹底的な検証が必要である。

この検証こそが重要で、戦乱の発生を前提に軍備増強だけを煽ることは、世界規模の軍拡競争をもたらすことにつながり、世界の災厄を拡大させる可能性を高めるもの。

ウクライナでの戦乱がなぜ発生したのか。

2月24日以降の出来事だけを振り返れば行動を起こしたロシアが悪いということになるが、実は戦乱はすでに2月24日以前に存在していた。

2014年の政権転覆以降、ウクライナでは内戦が存続し続けてきたのだ。

今回の戦乱はその延長線上のものに過ぎない。

ロシアが今回の軍事行動に踏み切ったのはウクライナ政府と東部2共和国との間で成立した「ミンスク合意2」がウクライナ政府によって踏みにじられたからだ。

ミンスク合意はウクライナ東部での内戦を収束させるための合意であり、合意は国連安保理で決議されており、国際法の地位を確保したものである。

ウクライナ政府はミンスク合意を遵守する責任を負うが、ウクライナ政府がミンスク合意を踏みにじった。

この点を踏まえると、今回の戦乱発生の責任の相当部分をウクライナ政府が負っている。

ウクライナ政府を指揮するゼレンスキー大統領の責任は極めて重い。

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ウクライナ東部で内戦が勃発した直接の契機は、2014年の政権転覆である。

本ブログ4月19日付記事
「2014/2/22マイダンの真実」
https://bit.ly/3wfeYIV

に概要だけを記述したが、この政権転覆の真実を明らかにすることが決定的に重要である。

米国の高名な映画監督であるオリバー・ストーン氏が2004年と2014年のウクライナ政権転覆の真実を考察するための貴重な映画情報を提供している。

『ウクライナ・オン・ファイヤー』だ。

情報は細部の事実を完全に断定するものにはなっていないが、真実=真相を究明する重要な手がかりを与えてくれるもの。

はっきりしている事実は、

当時の米国務省国務次官補のヴィクトリア・ヌーランド氏がウクライナ政権転覆=マイダン革命に深く関与していること、

そのヌーランドの直属の上司に当たるジョー・バイデン米副大統領がウクライナ問題の最高責任者であったこと、

ヴィクトリア・ヌーランド国務次官補がウクライナ内部の極右=ネオナチ組織と深く関わっていたこと、

などである。

この点については、中国問題に詳しい筑波大学名誉教授の遠藤誉氏が直近の論考を公開されている。

「遂につかんだ「バイデンの動かぬ証拠」――2014年ウクライナ親露政権打倒の首謀者」
https://bit.ly/3Pmp02p

結論を先走って要約するなら、何よりも重要な事実は、ウクライナ戦乱は回避可能であったということ。

戦乱発生が回避可能であったのかの検証を抜きに、戦乱は発生するから、軍備増強が必要との主張は一種の思考停止であると言える。

軍備増強を論じる前に、戦乱は回避可能であったのかの検証が優先されるべきだ。

戦乱回避が可能だったのに戦乱が発生したのなら、その失敗を回避するための方策を検討することの方がはるかに建設的な対応と言える。

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