人口比では半数が国連決議に非賛成
国連が3月2日に国連総会緊急特別会合を開き、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議を賛成多数で採択した。
賛成したのは193ヵ国中の141ヵ国。
反対は5ヵ国、棄権35ヵ国、意思表示なしが12ヵ国だった。
棄権した国のなかに中国、インド、パキスタン、バングラデシュなどが含まれ、ロシアは反対した。
反対、棄権、意思表示なしの国の人口を合計すると、全193ヵ国の人口の約半数になる。
この意味で、世界人口比では賛成と賛成以外がほぼ同数ということになっている。
国連安保理の常任理事国は米・露・中・英・仏の5ヵ国=P5。
第2次大戦の戦勝国である。
国連は第2次大戦の連合国のこと。
安保理の常任理事国には拒否権があり、P5のいずれか一国でも反対すれば決議は通らない。
米・露・中・英・仏のうち、露と中が反対すれば、米英仏の主張を押し通すことはできない。
世界に価値観は多様に存在する。
特定の価値観を独立国家に強要することはできない。
多様な価値観の存在を認め、相互承認、相互尊重の姿勢がなければ、世界平和を保つことができない。
国連の考え方は、内政干渉せず、紛争解決の手段に武力を用いないこと。
ロシアの行動は紛争解決のために武力を用いている点で容認されない。
ただし、紛争解決のために国連の決議を経ずに武力を行使した国はロシアだけではない。
2003年のイラク戦争は米国による一方的な軍事侵攻だった。
この軍事侵攻でイラクの罪なき市民が数十万人も虐殺されている。
この事実も踏まえることは必要だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアとの間でミンスク合意がありながら、ミンスク合意を履行する姿勢を示さなかった。
逆に、ロシアと軍事的に敵対するために米国や西欧諸国の軍事支援を求めてきた。
同時に、ウクライナのNATO加盟をNATO諸国に強く求める行動を示した。
このままウクライナがNATO加盟を強行すれば、ミンスク合意は反故にされる。
このことにロシアが危機感を抱いたことは容易に推察される。
ロシア軍事作戦の機密情報を捕捉した米国のバイデン大統領は、ロシアの軍事行動を抑止する行動ではなく、ロシアの軍事行動をそそのかす対応を示したとも言える。
ロシアの軍事侵攻でバイデンが得たものは大きい。
ロシアを悪者に仕立て上げること
バイデン大統領支持率を引き上げること
米国産天然ガスの高値販売を促進できること
軍産複合体の売上拡大を実現すること
子息のウクライナ疑惑を封印すること
一石五鳥の成果を得ることを可能にしたのがロシアの軍事侵攻である。
ロシアと直接交渉を執拗に行い、ロシアの軍事行動を未然に封殺するための努力が十分に払われたとは思われない。
ドイツのショルツ首相がロシアのプーチン大統領に対して、即時停戦を求めたことが伝えられている。
いま必要なことは、停戦の早期実現である。
戦乱のエスカレーションを回避する道を模索するべきだ。
米欧によるウクライナに対する軍事支援拡大が戦乱の拡大、戦乱の長期化をもたらす側面を持つことに十分な留意が求められる。
ロシア軍がウクライナ国内の原発を制圧したことが報じられた。
このことが示唆する意味は重大だ。
メディアは、ロシアは原発を攻撃対象とするべきでないことを訴える。
たしかに、それはその通りだが、このことが惹起する問題は極めて重大だ。
つまり、原発の存在そのものがリスクであるということ。
稼働中の原発が攻撃されれば、いつでも重大事故が発生し得る。
戦乱が拡大したときに、すべての行動が制御される保証はない。
現に、原子爆弾が2回も投下されたという歴史を人類は負っている。
日本に存在する原発が、何者かによって破壊されれば、それだけで日本が終焉する可能性を否定できない。
今回の問題は原発の潜在リスクを改めて白日の下に晒したという意味を持つ。
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