バイデンに一石五鳥のウクライナ紛争
平和はすべてのことに対して優先されるべき価値。
日本国憲法の価値もここにある。
日本国憲法は、
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
と明記した。
紛争を解決する手段として武力による威嚇と武力の行使を永久に放棄した。
正しい選択である。
したがって、紛争の解決に武力を用いないこと。
この大原則を守らねばならない。
この意味で、ウクライナで生じている現実は悲しむべきこと。
ロシアは武力の行使を実行するべきでなかった。
しかし、この問題はロシアだけの問題でない。
つい最近も、極めて重大な問題が発生している。
その問題を主導したのは米国である。
米国はアフガニスタンやイラクに軍事侵攻した。
2003年に勃発したイラク戦争は米国による軍事侵攻である。
米国はイラクが大量破壊兵器を保持していると主張し、これを大義名分にしてイラクに軍事侵攻した。
国連決議違反の行為でもあった。
しかし、イラクから大量破壊兵器は発見されなかった。
この戦争で大量のイラク市民が犠牲になっている。
確定した数値は存在しないが少ない推計で10万人、多い推計では60万人の市民が犠牲になっている。
英「BBC」の番組で、ウクライナの元検事が、
「青い目と金髪のヨーロッパ人が、子供たちが殺されているのです」
と語ったという記事を紹介した。
イギリス人の元欧州議会議員がウクライナ人について、
「彼らは私たちにそっくりだ。
ゆえに、いま起きていることがたまらなく衝撃的だ。
戦争とはもはや貧困にあえぐ遠く離れた場所に暮らす人々の身に降りかかるものではなく、どこにでも起こり得るのだ。」
と述べたことも同じ記事で紹介されている。
「「私たちみたいな青い瞳の金髪の人々が攻撃されるなんて」
ウクライナ報道に見える“人種差別”」
https://bit.ly/3sBgIdM
イラクで民間人が犠牲になるのは構わないが、青い目と金髪の白色人種が犠牲になることは許せないということなのか。
ロシアがイラク戦争の事例を引くのは順当である。
こう表現する意味は、ロシアの行為が正しいということではなく、ロシアも間違っているが、米国も間違っていたということ。
米国がイラク戦争を棚に上げてロシアを悪魔のように表現することに正当性はない。
現在に至る経緯のなかで重要なものを羅列しておこう。
1990年 ドイツ統一問題での協議で米国がソ連に対してNATO東方不拡大の方針を明示
1994年 ブタペスト覚書 ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナが核不拡散条約に加盟したことに関連し、米、ロ、英の核保有3ヵ国が3国に安全保障を提供するというもの
2004年 オレンジ革命 ヤヌコヴィッチ大統領を選出した選挙に不正があるとして再選挙を行い、親西欧のユシチェンコを大統領に選出した政権転覆革命
2010年 大統領選でヤヌコヴィッチを大統領に選出
2014年 ヤヌコヴィッチ大統領を国外追放する暴力的革命が勃発し、大統領がポロシェンコに交代
この政変に連動してロシアがクリミアを併合
ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランス4ヵ国により「ミンスク合意」調印。ウクライナ東部地区に自治権を付与することが定められた。
2019年 ゼレンスキー大統領選出 ミンスク合意履行を約束
2021年3月 ゼレンスキー大統領が軍事安全保障戦略に署名 内容は「ロシア連邦との地政学的対決において、国際社会がウクライナを政治的、経済的、軍事的に支援すること」を求めるというもの。背景にバイデン政権の発足があった。
その後、2022年まで、ロシアはウクライナにミンスク合意履行を求めたが、ゼレンスキー大統領はこの要請を無視するだけでなく、ロシアに対する軍事的敵対姿勢を鮮明にした。
この結果としてウクライナ紛争が勃発した。
バイデン大統領にとっては、
1.ロシアを悪者に仕立てる
2.米国産天然ガスを高値売却できる
3.軍産複合体に販売促進機会を与える
4.大統領支持率を引き上げる
5.子息のウクライナ疑惑を封殺する
という一石五鳥の成果を得られるのが、今回のウクライナ紛争である。
米国は派兵を早期に否定し、ロシアの軍事侵攻を扇動した側面を有する。
冷静に経緯を見極め、早期に停戦を実現するために、すべての国家が力を注ぐべきである。
米国、NATOが停戦を追求せずにウクライナへの軍事支援を優先することは、紛争の長期化、深刻化を招くことになる。
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