戦乱発生を歓迎する勢力
戦乱の発生を歓迎する勢力が存在する。
軍産複合体だ。
軍産複合体にとって戦乱は生命線。
10年に一度のペースで戦乱が発生しなければ産業を維持することができない。
軍産複合体の経営基盤を支えるのは政府による軍事支出。
戦乱がなければ軍事予算は削減される。
軍事予算を維持するには戦乱の発生が必要不可欠である。
現代の戦争は必然によって生じない。
現代の戦争は必要によって生じる。
こう述べてきた。
ウクライナの紛争も米国サイドの誘導によって生じた側面がある。
ウクライナがミンスク合意を誠実に履行していれば戦乱は発生していないと考えられる。
ミンスク合意のカギはウクライナ政府が東部2地域に自治権を付与すること。
これはウクライナ政府にしかできないこと。
しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領はミンスク合意を破壊した。
合意を制定した当事者である東部2地域代表者を「テロリスト」と公言して交渉のテーブルにつくことさえ拒絶した。
逆に、ゼレンスキー大統領はロシアに軍事的に対抗するための軍事力強化の方針を打ち出し、ウクライナのNATO加盟を全面的に推進する姿勢を示した。
この方針が鮮明になったのは2021年3月。
背景に米国のバイデン政権の発足がある。
このバイデン政権で国務次官に起用されたのがヌーランド。
ゼレンスキー大統領が2021年3月25日に承認した「軍事安全保障戦略」には、
「ロシア連邦との地政学的対決において、国際社会がウクライナを政治的、経済的、軍事的に支援すること」
を求めると同時に、
優先順位の高い項目として、「ウクライナのNATOへの完全加盟」を明記した。
さらに、2021年9月には、クリミアの「脱占領と再統合」のための戦略を実施するための行動計画を承認し、軍事的手段も含めてクリミアを奪還する方針を明示した。
つまり、ロシアではなくウクライナがミンスク合意を廃棄して、ロシアと軍事対決する姿勢を鮮明に示していたのである。
それでも、現代の国際社会においては先に手を出した方が負けになる。
この意味で、ロシアの行動は問題にされなければならない。
ただし、このとき、もう一つ見落とせない問題がある。
2003年のイラク戦争だ。
イラク戦争は米国が「イラクが大量破壊兵器を開発している」として引き起こした戦争。
国連は戦争に至る前のプロセスを重視し、米国の軍事行動を承認していない。
このなかで、米国が手を出した。
イラクに対する全面戦争を遂行した。
しかし、戦争後、イラクから大量破壊兵器は発見されなかった。
米国による侵略戦争であったと評価できる。
そのイラクで民間人が数十万人単位で犠牲になった。
ウクライナの被害をはるかに上回る被害が生み出された。
問題はメディアがこの事実をどのように伝えたのかである。
現在のウクライナ問題と比較して、イラク戦争の報道はまったく異なる。
イラク市民の立場から戦争被害を伝える報道は皆無に近かった。
つまり、メディアの報道は米国の立場からのものなのだ。
現在の紛争において最大のパワーを発揮しているのが「ソフトパワー」=情報戦である。
このなかで、私たちに新鮮な視点を提供してくれているのが、オリバー・ストーン監督の
『ウクライナ・オン・ファイヤー』。
この映画に登場する米国の気骨のジャーナリストであるロバート・パリ―氏が重要な指摘を示す。
ぜひ『ウクライナ・オン・ファイヤー』をじっくりと視聴していただきたく思う。
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