米は善露は悪の単純思考浅はか
ウクライナで勃発した二つの政府転覆争乱。
2004年と2014年に生じている。
この争乱の背景と意味を理解しないと現在の問題を理解できない。
理解を助けてくれるのがオリバー・ストーン監督作品の
『ウクライナ・オン・ファイヤー』。
ウェブ上で視聴できるが、すぐに削除される。
日本語字幕付きの動画サイトを紹介するが、これも、早晩削除されるかもしれない。
削除された場合は、「ウクライナ・オン・ファイヤー」で検索いただき、動画を視聴いただきたい。
動画解説文を以下に転載させていただく。
「ウクライナの歴史と近年に起こされたカラー革命と呼ばれるクーデターの仕組みを解説している2016年に制作されたドキュメンタリーです。
2014年、キエフのマイダン独立広場で起こされた虐殺は、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領を追放するために起こされたクーデターだったのです。
西側メディアはヤヌコーヴィチ政権とロシアを加害者として描いています。
しかし、本当にそうだったのでしょうか?
このクーデターにより、炎上したウクライナは、2004年のオレンジ革命、2014年の反乱、そして民主的に選ばれたヤヌコヴィッチ政権の転覆につながりました。
この悲劇を西側メディアは民主主義の革命として大きく取り上げましたが、実際にはウクライナに戦後生き延びたネオナチ民族主義者と米国務省によって脚本・演出されたクーデターであったことが知られています。
この様なカラー革命は世界中至るところで起こされています。
それは如何にして起こされて来たのでしょうか?
そのテクニックをオリバー・ストーン監督は、分かりやすく描いています。」
2014年の政変は暴力革命による政権転覆だった。
このクーデターを陰で操ったのが米国のヴィクトリア・ヌーランド国務次官補。
責任者はバイデン副大統領だった。
ヌーランドはウクライナの極右組織スヴォボダなどと結託して、平和デモを暴力デモに変質させた。
この暴力革命によって政権を転覆したのである。
欧米は冷戦後、NATO東方拡大政策を推進してきた。
冷戦終結時に米国はNATO東方不拡大をロシアに約束している。
このことは、外交文書の公開によって明らかにされつつある。
しかし、欧米はNATO東方拡大を推進してきた。
1999年にポーランド、チェコ、ハンガリー、2004年にルーマニア、ブルガリア、スロヴェニア、スロヴァキア、ラトビア、リトアニア、エストニア、2009年にアルバニアとクロアチア、2017年にモンテネグロ、2020年には北マケドニアと、NATO加盟国は16ヵ国から30ヵ国にまで拡大してきた。
現在、ロシアの対西側緩衝地帯はベラルーシとウクライナだけになっている。
1962年にキューバ危機が発生した。
旧ソ連によるキューバへの核ミサイル基地配備計画が発覚し、米国がカリブ海でキューバの海上封鎖を実施し、米ソ間の緊張が高まり、核戦争寸前まで達した出来事だ。
結局、ソ連が核配備を中止して危機は回避された。
米国の喉元にソ連の核兵器が配備されることに米国は激しく反応した。
この逆がウクライナのNATO加盟問題である。
米国が激しく反応したことを踏まえれば、ロシアが激しく反応することは容易に理解できる。
そのウクライナでの政権転覆が米国主導での暴力革命であったなら、ロシアの不満が蓄積されることは当然と言える。
問題はウクライナの民族構成にもある。
ウクライナの北西部は親欧米色が強いウクライナ系住民が多く、宗教はカトリックであるのに対し、南東部は親ロシア色が強いロシア系住民が多く、宗教はロシア正教。人口は北西部が3分の2、南東部が3分の1だ。
2014年の政権転覆に際してクリミアの住民は住民投票を実施してロシア帰属を決めた。
東部ドネツク、ルガンスクでは親ロシア勢力が二つの共和国創設を宣言した。
この両地域がウクライナ政府と内戦状態に移行し、2014年から2015年にかけてウクライナ、ロシア、東部両地域代表、ドイツ、フランスによって「ミンスク合意」が調印された。
「ミンスク合意」は東部両地域への強い自治権付与を確約するものになった。
2019年に大統領に選出されたゼレンスキーは、ミンスク合意履行により東部問題を解決することを公約に掲げたが、大統領就任後はミンスク合意を無視して、ウクライナのNATO加盟を強行する姿勢を示した。
その結果として今日の問題が生じている。
これらの経緯を踏まえた問題解決策を早急に模索する必要がある。
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