HIS関連GoTo不正事件捜査の遅延
巨大なGoToトラベル不正受給問題が表面化して2ヵ月近くの時間が経過する。
いまだに強制捜査すら行われていない。
旅行大手HISの子会社である「ジャパンホリデートラベル」と「ミキ・ツーリスト」が宿泊実態のない架空の宿泊についてGoToトラベル給付金の申請を行った問題。
HIS元社長が社長を務めるJHAT社が公金不正受給の中核を担ったと見られる。
JHAT社は東京虎ノ門に所在するビルに本社を置く。
このビルにHISも本社を置いている。
HISが設置した調査委員会は不正受給を認定。
返還すべき給付金の総額は最大6億8300万円に上るとした。
HIS創業者の沢田秀雄会長兼社長は会見で、
「HIS本体は不正に一切関与していない」と強調したが、「ジャパンホリデートラベル」と「ミキ・ツーリスト」の2社は上場企業であるHISの連結子会社。
連結子会社の不正事案に対して親会社が関係ないと主張しても通用しない。
二つの子会社のうち、「ミキ・ツーリスト」がJHAT社と共謀して不正事案に深く関与した疑いが持たれている。
観光庁が今後のGoto事業について子会社の関与を禁止する方針を示すとともに刑事告訴も視野に調査を続けることを明らかにしたのは昨年12月28日のこと。
その際、観光庁はエイチ・アイ・エスの子会社などの上記3社について、再開を予定しているGoToトラベル事業への参加資格を停止するとしたが、HIS本体に対しては除外しない方針を示している。
重大な公金不正受給事件に関するHIS社の責任は重大。
連結子会社の事案は親会社の事案として取り扱うのが当然ではないか。
HISはワハハ本舗が主催するイベントのスポンサーを務めてきた。
この事案に対する刑事捜査が遅れている背景に政治的な事情が存在するとの見方も浮上している。
自公連立政権での国交大臣ポストを公明党が占有し続けている。
GoToトラブル事業の所管の中心は国交省。
斉藤鉄夫国交相はGoToトラブル不正について陳謝したが、今回の巨大不正事件に対する責任追及が極めて甘い。
2月4日には新たに別のGoToトラベル事業公金不正受給事案の疑いが明らかにされた。
観光庁が、GoToトラベル事業で旅行業者の旅工房やトラベル・スタンダード・ジャパン(東京)などによる不正の疑いが判明したことを公表した。
このうち、旅工房は2月4日、法人向け旅行商品で申請した6億3000万円の一部に宿泊実態がなく、受給対象にならない可能性があるとして、調査委員会を立ち上げたことを発表した。
HIS子会社の不正事件では7億円近い公金詐取の疑いが明らかにされている。
今回、新たに公表された事案も大型不正受給事件に発展する可能性がある。
他方、コロナのまん延防止等重点措置、緊急事態宣言に伴う飲食店事業者に対する「協力金」支払いにおいても不正受給事案が多数存在することが指摘されている。
自公政権はコロナ対応で超巨大な補正予算を編成したが、その大半が不透明な支出になっている。
2020年度には補正予算が3度編成され、73兆円の財政支出が追加された。
そのなかで、透明公正と評価できる支出は1人10万円の一律給付だけだった。
全国民対象の条件なし一律給付。
予算規模は13兆円弱だ。
これ以外の支出は不透明で利権満載の予算になっている。
協力金受給では、実態のない飲食店を新たに創設し、営業実態がないのに協力金だけを不正受給する事例も存在すると見られる。
また、極めて小規模で、通常の売り上げがほとんどないような飲食店事業においては、「協力金バブル」と表現できる状況が発生している。
日本財政の最大の問題は予算の中身の議論がほとんどないこと。
予算の中身に対するチェックがほとんど行われていない点にある。
まずは、巨大なGoToトラベル事業不正受給事件に対する速やかな刑事捜査対応が強く求められる。
すべての不正事案を精査する特別委員会を国会に設置することを検討するべきだ。
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