参院選最重要戦術は連合の排除
『月刊FACTA』が号外で連合の内部文書について報じている。
内部文書は、連合政治センター事務局が1月21日に、加盟組合に対して「厳秘」扱いで送付した
「第26回参議院選挙の基本方針(補強・修正 素案)」
というもの。
ここには、「Ⅰ.「第 49 回衆議院選挙の取り組みのまとめ」から」と題して、次のように記述されている。
「連合は、第 49 回衆議院選挙において、立憲民主党を「総体として支援」、また、国民民主党については「候補者を支援」するとし、組織一丸となった取り組みを呼びかけてきたが、構成組織によって支援政党が異なる状況での困難さがあった。
また、「共産党を含む野党共闘には与しない」としてきたものの、共産党が前面に出てきたことで、組織力を十分に発揮し切れなかった。」
このように記述した上で、本年夏の参議院議員通常選挙に向けて次のように記述している。
「総選挙の前段の 2021 年 10 月24 日に行われた参議院静岡県補欠選挙では、国民民主党と立憲民主党と連合の三者が推薦した候補者が勝利を収めた。
このことからも、第 26 回参議院選挙に向けては、立憲民主党と国民民主党が幅広い有権者の支持を得て地盤を固めることを基本に、「(両党と)連合の三者が十分に政策を共有し、連携し、力を合わせることが何より重要である」とした。」
この連合のスタンスは、昨年10月の衆院総選挙に際しての立憲民主党枝野幸男代表の発言と整合性が取れている。
昨年10月の総選挙直前に立憲民主党枝野幸男代表は記者に対してこう述べた。
「「野党共闘」というのは皆さんがいつもおっしゃっていますが、私の方からは使っていません。
あくまでも国民民主党さんと2党間で連合さんを含めて政策協定を結び、一体となって選挙を戦う。
共産党さんとは(共産、社民、れいわの3党と一致した政策に)限定した範囲で閣外から協力を頂く。」
枝野氏は、共闘の対象は国民民主と連合であって、共産、社民、れいわとは共闘しないと述べていたのである。
連合は上記1月21日付文書の「Ⅲ.(第 26 回参議院選挙に向けての)基本的な考え方と対応」の「2.選挙区選挙での対応」に、次のように記述している(括弧内部分は筆者による補足)。
「各選挙区では、立憲民主党や国民民主党の地方組織、他団体等を交えた協議が進められている。
連合は、当該地方連合会および構成組織の地方組織・加盟組合が一丸となって応援できる候補者を推薦する。
そのため、各地方連合会は、両党の地方組織等との意見交換や、候補者との対話の場の設定などを行いながら、十分かつ慎重に候補者の見極めを行う。
その際には、「連合の政治方針」の附則「政治・選挙活動方針」に記載の推薦基準(※2)に忠実に沿うことを大前提とする。
とりわけ連合は同方針において「『働くことを軸とする安心社会』を構築する手段として、政治活動に積極的に取り組む」としており、目的が大きく異なる政党や団体等と連携・協力する候補者は推薦しないという姿勢を明確にする必要がある。
※2 連合の政治方針(附則)推薦基準
(a)連合の政治理念や政策の基本的考え方を共有し、その実現に向けて協働する立場で活動してきた候補者、または活動しうると判断できる候補者を選択する。
(b)人格、識見、行動が、連合の推薦候補者としてふさわしいと判断される候補者を選択する。」
引用が長くなったが、連合が強調する重要点は以下の二点であると理解できる。
第一は、国民民主党と立憲民主党と連合の三者が十分に政策を共有し、連携し、力を合わせることが何より重要であるとすること。
第二は、目的が大きく異なる政党や団体等と連携・協力する候補者は推薦しないという姿勢を明確にすること。
要するに、連合は国民民主党と立憲民主党と連携し、共産党を排除する。
この姿勢を鮮明にしている。
昨年10月の衆院総選挙時に立憲民主党の枝野幸男代表が明示した方針も、基本的に連合が示している路線に一致するものである。
これで、昨年10月の衆院選で立憲民主党が惨敗した理由が明確になる。
立憲民主党が惨敗したのは共産党との共闘を推進したからではなく、共産党との共闘を否定するスタンスを枝野氏が明確にしたことが主因であると理解できる。
現在の自公政治を否定する主権者は、自公政治と対峙する政治勢力の連帯=共闘を求めた。
ところが、枝野幸男氏はその基本路線を否定した。
そのために、立憲民主党が主権者支持を一気に失ったのである。
本年夏の参議院選挙で、日本政治刷新を求める主権者は、野党共闘の破壊を目指す連合が支援する候補者の落選に力を注ぐことが必要だ。
連合は完全に守旧勢力と化しており、主権者が、連合と関わる政治勢力を支援しない方針を明確にすることが最重要になる。
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