民主党凋落の足跡を振り返る
日本政治の今後を考えるためには、これまでの経過を正確に振り返ることが必要。
現在は過去の延長線上に位置し、未来もその延長線上に位置するからだ。
小選挙区制度の下で政権交代は生じないと述べる者がいるが、これは事実に反する。
2009年、日本の主権者は自らの意思で政権の刷新を選択した。
鳩山民主党は2009年8月総選挙に大勝した。
この選挙では投票率が約7割にまで上昇した。
政権交代が生じないのは政権交代を生じさせる状況が生まれていないことが原因であって、政権交代は起こり得ないと考えるのは事実誤認。
2009年の政権交代は画期的な意味を有していた。
敗戦後日本の政治構造を根底から刷新する壮大な構想が描かれていた。
鳩山内閣は三つの重要な公約を提示した。
第一は辺野古での米軍基地建設を中止すること。
第二は官僚の天下りを根絶すること。
第三は企業団体献金を全面禁止すること。
米国による日本支配、官僚による日本支配、大資本による日本支配の基本構造を打破しようとした。
それだけに、日本の既得権勢力の反発はすさまじかった。
日本既得権勢力の本尊は言うまでもない。
米国の支配者である。
米国の支配者が基軸になって鳩山内閣に対する総攻撃が展開された。
鳩山由紀夫氏、小沢一郎氏に対する人物破壊工作が遂行された。
目的のためには手段を選ばぬ卑劣で不正な攻撃だった。
そして、重要なことは鳩山内閣を破壊するために、民主党内に潜む既得権勢力が工作者として活用されたこと。
辺野古移設見直しを阻止したのは民主党内の閣僚だった。
菅直人、岡田克也、北澤俊美、前原誠司、平野博文の各氏は面従腹背だった。
彼らが忠誠を尽くしたのは内閣総理大臣ではなく日米合同委員会、米国の支配者=ディープ・ステートだったと考えられる。
最重要課題の辺野古移設見直しを妨害された鳩山首相は、そのことで退陣に追い込まれた。
鳩山内閣は米国、官僚機構、大資本という日本の既得権勢力の中核をなす米官業トライアングル支配の構造を打破しようとした。
そのために、これらの勢力から総攻撃を受けた。
既得権勢力が刑事司法とマスメディアを支配していることが大きい。
鳩山首相が総攻撃を受ける様子を間近に観察した菅直人氏は既得権勢力の側に寝返った。
寝返ることにより権力を奪取したのである。
この意味で2010年7月に重要な断絶がある。
日本政治刷新を目指す革新政権は2009年9月から2010年7月までの9ヵ月で終焉した。
2010年7月に発足した菅直人内閣は既得権勢力による傀儡政権に転落していた。
菅内閣は発足すると直ちに辺野古米軍基地建設を容認するとともに、党の公約を破棄するかたちで消費税率を10%に引き上げることを2010年7月参院選公約として提示した。
この菅直人内閣が参院選で惨敗したのは当然の帰結だった。
菅直人氏は参院選を菅内閣に対する信任選挙だと位置づけた。
毎日新聞インタビューで、このことを明言したのは枝野幸男幹事長。
選挙に惨敗した菅直人氏は、この瞬間に辞職するべきだったが、そこから1年も首相の座に居座った。
後継首相に就任するべきは当然、小沢一郎氏だったが、9月14日に実施された民主党代表選は歴史的な不正選挙だったと考えられる。
茨城県の筑波学園郵便局に郵送された党員・サポーター投票の集計を委託されたのが株式会社ムサシ。
投票用はがきにはプライバシー・シールが貼られていなかった。
大量の小沢一郎氏票が廃棄された疑いが濃厚である。
菅直人氏は続投し、翌年には野田佳彦氏が後継首相に就任した。
野田佳彦氏こそ、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と絶叫した中心人物だった。
菅直人氏と野田佳彦氏が傀儡政権トップに立ったため、民主党に対する評価は地に堕ちた。
私たちは歴史事実を詳細に検証し、事実誤認を正すことが必要だ。
鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd
10月5日発売の鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社)
https://amzn.to/3hSer8a
のご高覧も賜りたい。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
https://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第3098号「革新勢力を潰すためのCIA工作」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する
« 日本経済に景気後退の兆候 | トップページ | 与党とゆ党馴れ合い政治に"喝" »
「民進党・立憲民主党・連合の分解」カテゴリの記事
- 同時に衰退する与党と野党(2023.08.19)
- 卑怯な立民こうもり孤立は必然(2023.07.23)
- 小沢氏仕掛けの絶妙タイミング(2023.06.17)
- 連合芳野会長に立民泉代表が上奏(2023.05.18)
- 立憲民主党が衰退する理由(2023.05.14)