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2021年12月21日 (火)

1日で100万円文通費温存を決定

今国会で論議の対象になった「1日で100万円文通費」の見直しが行われない見通しになった。

文通費は文書通信交通滞在費のことで国会議員の給与やボーナスとは別に国会議員1人あたり毎月100万円が支払われるもの。

しかし、使いみちの基準や範囲はあいまい。

税金がかからず、領収書の提出義務もないため、国会議員の「第2の給与」と呼ばれている。

10月31日の衆院選で初当選した「日本維新の会」小野泰輔議員がSNSで「告発」したことから論議が拡大した。

小野議員は「国会の常識、世間の非常識」のタイトルで投稿。

10月31日当選なので、10月の在任期間が1日しかないにもかかわらず、10月分の文通費が満額の100万円支給されたことを暴露した。

現行法では、国会議員の給与である歳費は日割り支給だが、文通費には日割りが適用されていない。

世間の最低賃金は時給820円。

ひと月に1日しか働かなければ、当然、1日分の賃金しかもらえない。

ところが、国会議員は正規の給与である歳費とは別に文通費をもらうことができ、しかも、在任期間が1日なのに1ヵ月分の文通費を丸々受領できる。

「世間の常識」と「国会の常識」はかけ離れている。

実態が暴露されたことで各政党は対応に追われた。

文通費を日割りにすることについては同意が示された。

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制度を改正するための法改正が論じられたのだが、今国会での法改正が見送られることになった。

その理由は、問題が「日割り」だけにあるわけではないからだ。

「日割り」の問題は任期が切れる月だけのもので特殊なもの。

衆議院の任期は原則4年だから、4年に1度か2度しか問題は発生しない。

より重要な問題は使途が不明朗であること。

領収書不要で公開の義務もないから、何にどう使われているか分からない。

文通費は国費だから財源は税金だ。

国民の代表者として公務員として働いているのだから、国費の使い道については国民の前に明らかにする義務がある。

「日割り」の問題に加えて「使途公開」と使い残した場合の「国庫への返納」の問題が提起された。

「日割り」問題がより本質的な「使途公開」、「国庫への返納」の問題に広がることになった。

このことに対して明らかに背を向けたのは自民党。

自民党は、臨時国会では「日割り」だけを実現する法改正を行い、「使途公開」、「国庫への返納」については継続議論にするとの方向を示した。

自民党は12月21日の会期末を前に、「日割り」以外について、

「早急に合意が得られるよう最大限の取り組みをすすめる」

「このための各党会派による協議の枠組みを立ち上げるものとする」

と記された文書を野党に提示したが、自民党の主張に変化はなく、野党は応じなかった。

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要するに自民党に「改革」の意思はない。

不明朗な文通費受け取りを継続したいとの意向が鮮明に浮かび上がる。

これに対して「維新」などが正義の味方を演じ、「維新」の宣伝を担当するマスメディアが「維新」の宣伝を大々的に行うが、「維新」が正義の味方であるわけがない。

国会では通常、多数決で法律が制定されるが、国会議員の「待遇」に関わることは「全会一致」で採決することが慣例だと主張される。

我田引水の議論そのもの。

自分たちの利権減少を阻止しようという考えを言い換えただけのものだ。

国民の目線に立って正当な制度変更であるなら、多数決で堂々と制度変更を断行するべきだ。

「維新」などの「強い」発言は、「全会一致原則」を念頭に、自民党が反対して制度変更が実現しないことを見越しての「パフォーマンス」である疑いが強い。

文通費の使途公開よりも重大な問題がある。

それが「政策活動費」や「組織活動費」の使途公開だ。

この問題について「維新」が積極的な発言をしたことを寡聞にして知らない。

政治資金の明朗化は日本政治浄化の一丁目一番地。

「改革」を実現するには主権者である国民が積極的な行動を示す必要がある。

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