立憲民主が進む弱小政党への道
日本国憲法前文に次のように記している。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」
「国民が正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する」
のである。
「国政は国民の厳粛な信託によるもの」。
他方、政党は「共通の政治的目的を持つ者によって組織される団体」。
国民が各個人の考えを代弁する政党に所属する候補者や政党そのものに投票する選挙を通じて政治が行われる。
政党のために国民が存在するのではなく、国民のために政党が存在する。
より正確に言えば、国民が自らの望む政治を実現するために政党を組織するのだ。
国民のための政党であって政党のための国民ではない。
立憲民主党がこの基本を理解しているか疑わしい。
立憲民主党が泉健太氏を新代表に選出した。
立憲民主党は先の衆議院総選挙で惨敗した。
立憲民主党と国民民主党はかつての民主党、民進党が離合集散を繰り返して創設されたもの。
このグループの2017年選挙と2021年選挙での獲得議席数は以下のとおり。
2017年「立憲+希望」 選挙区36 比例69
2021年「立憲+国民」 選挙区63 比例44
立憲民主党議席は改選前が109だったが、今回総選挙で96に減らした。
選挙区で議席を大幅に増やしたが比例代表で議席を大幅に減らした。
選挙区で議席を増やした要因は野党共闘にある。
共産党が候補者擁立を取り下げて立憲候補者の支援に回った。
この結果として多数の議席を確保した。
他方、比例代表選挙結果は立憲民主党の実力を示す。
立憲民主党は支持を大幅に失い、比例代表の議席を大幅に減らした。
比例代表選挙で全有権者の何パーセントが投票したのかを示す絶対得票率を見ると
2017年 2021年
「立憲+希望」 20.0%
「立憲+国民」 13.7%
「維新」 3.3% 7.8%
「共産党」 4.2% 4.1%
になっている。
「立憲+国民」が得票率を大幅に下げ、「維新」が大幅に得票率を上げたことが分かる。
泉健太氏は共産党との共闘に否定的な姿勢を示す。
「共産党との共闘はあり得ない」とする連合と足並みを揃えている。
次の選挙で立憲民主党が共産党との共闘を排除するなら、立憲民主党は選挙区でほとんど議席を確保できなくなるだろう。
参院選について野党候補を一本化することが望ましいとしているが、基本政策を共有せずに候補者を一本化することは正当でない。
「野合」そのものだ。
連合の主張は、戦争法制容認、原発稼働容認、消費税増税容認の色彩を色濃く持つ。
共産党との共闘をあり得ないとする主張は「守旧勢力」の主張そのもの。
立憲民主党がこの方向を明確にするなら、支持者は激減し、次の総選挙でさらに惨敗の度合いを強めることになるだろう。
重要なことは、自公政治刷新を求める主権者の層が極めて厚いこと。
戦争法制排除、原発稼働ゼロ、消費税減税・廃止を求める主権者が多数存在する。
この主権者は共産党との共闘を排除しない。
立憲民主党が守旧政党としての性格を鮮明にすると、自公政治刷新を求める主権者の意思を代弁する中核政党が不在になる。
守旧政党としての性格を露わにする立憲民主党に国政を委ねることはできない。
この意味で日本の主権者は自らの政治的主張に寄り添う、信頼できる確かな野党を創設する必要に迫られている。
立憲民主党代表選結果が今後の最大課題を明らかに示している。
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