立憲代表選が盛り上がらぬわけ
立憲民主党代表選が30日に投開票日を迎えるがまったく盛り上がらない。
メディアの取り上げ方が少ないとの声もあるが、代表選そのものが迫力を欠いている。
立憲民主党が衆院総選挙で惨敗したことに関して、共産党との共闘の是非が最大の話題とされた。
立憲民主党内には共産党との共闘を否定する勢力と共産党との共闘を推進する勢力とが同居している。
両者の関係は水と油で永遠に融合することがない。
このことを端的に示しているのが連合芳野友子会長の言葉。
「共産党の閣外協力はあり得ない」
と述べた。
共産党との共闘全面否定だ。
衆議院総選挙では共産党が野党候補一本化に最大の貢献をした。
その結果、289選挙区のうち213選挙区で候補者が一本化された。
立憲民主党は議席を減らしたが、選挙区では多くの議席を獲得した。
野党共闘の恩恵を最大に享受したのが立憲民主党。
2017年と2021年の総選挙における旧民主党=旧民進党勢力の獲得議席数は次の通り。
2017年「立憲+希望」 選挙区36 比例69
2021年「立憲+国民」 選挙区63 比例44
この勢力が選挙区での獲得議席を大幅に増やした最大背景は野党共闘の実現にあった。
ところが、立憲民主党の枝野幸男氏は野党共闘を冒涜する言動を続けた。
枝野氏は
「「野党共闘」というのは皆さんがいつもおっしゃっていますが、私の方からは使っていません。
あくまでも国民民主党さんと2党間で連合さんを含めて政策協定を結び、一体となって選挙を戦う。」
と述べて、共闘の対象は国民民主党と連合であって、共産党、社会民主党、れいわ新選組は共闘の対象ではないと明言した。
立憲民主党の「コウモリ対応」、「二枚舌路線」で立憲民主党支持者が離反した。
右側の人は維新に鞍替えし、コアの支持者の多くは投票そのものを棄権した。
総選挙比例代表選挙における絶対得票率(全有権者に対する得票の比率)を見ると、
2017年の「立憲+希望」20.0%が2021年の「立憲+国民」13.7%に激減した。
対照的に維新得票率は3.3%から7.8%へ増加した。
共産党得票率は4.2%から4.1%へと、ほぼ横ばいだった。
立憲民主党の二枚舌路線、コウモリ対応が立憲民主党に対する不信を増幅させたのだ。
したがって、立憲代表選では今後の基本路線を十分に論議して、明確な方向を示すことが必要だった。
党内の路線の相違は根本的なもの。
共産党との共闘を否定する勢力は
戦争法制を容認、原発稼働を容認、消費税増税を容認する基本スタンスを有する。
共産党との共闘を肯定する勢力は
戦争法制を容認せず、原発稼働ゼロを求め、消費税減税・廃止を求める。
真逆の基本路線を有する二つの勢力が同居することに問題の本質があることを明らかにすることが代表選の最大の成果になるべきだった。
ところが、路線の相違を明らかにするどころか、路線対立を隠蔽する代表選になってしまった。
立憲民主党が「連合依存」体質を排除しなければ、今後の選挙に際しても「野党共闘」をめぐる不協和音は鳴り響き続けることになる。
衆院選惨敗の教訓を生かすどころか、衆院選惨敗の体質が温存される。
国民民主党は隠れ自公勢力の一角である本性をあからさまに示すようになった。
維新は自公の右側に位置する極右勢力。
この両勢力との距離の近さから、泉健太氏と小川淳也氏が新代表に就任すれば野党共闘路線は崩壊に向かう。
逢坂誠二氏は枝野幸男氏が顧問を務めるグループの支持を得ている。
したがって、逢坂氏が新代表に就任する場合、枝野氏のコウモリ路線が引き継がれる可能性が高い。
唯一、西村智奈美氏が新代表に選出される場合に、野党共闘路線が明確化される可能性が残るだけだ。
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