変わらない「古い資本主義」
2012年に斎藤貴男さんと
『消費税増税「乱」は終わらない』(同時代社)
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消費税の問題を軸に税の問題を多面的に考察した書である。
このなかで私は経済政策の課題に
「成長と分配」
があり、低成長時代に移行して、とりわけ「分配」問題の重要性が上昇していることを指摘した。
民主党が消費税増税を強行決定した、いまから9年前の出版だ。
そこで指摘したのは「分配」問題に二つの側面があること。
第一は生産活動の果実である国民所得をどのように「分配」するのかの側面。
第二は民間経済が分配を終えたあとでその所得分布をどのように「再分配」するか。
財政が関わるのは「再分配」である。
しかし、その前に民間経済活動のなかで「分配」が行われる。
日本の実質GDPは1996年度が476兆円、2020年度が527兆円。
24年間の年平均経済成長率は0.4%。
四捨五入してゼロだ。
経済成長なしの24年間を経過した。
今後も人口減少は続き、技術進歩も見込まれない。
日本経済の低迷は続く。
このなかで労働者の所得は減少し続けた。
労働者一人当たりの実質賃金は2012年から2020年までの8年間に5.6%も減少した。
世界最悪の賃金減少国と言って過言でない。
アベノミクスの下で日本経済は低迷を続けたが、大企業利益だけは激増した。
その一方で労働者分配所得は減少し、一人当たり実質賃金が6%も減少した。
安倍晋三氏は雇用が増えたと自画自賛するが、非正規雇用者が大幅に増加しただけ。
減少した労働者分配所得を分け合う人数だけが増えた。
その結果、一人当たり労働者実質賃金が激減した。
この日本で新しい貧困問題が深刻化している。
年間を通して働きながら、年収が200万円に届かぬ人が全体の2割を超える。
年収が400万円に届かぬ人が全体の55%を超える。
最低賃金の最低値は820円。
年間2000時間労働でも年収は164万円にしかならない。
「成長」と叫んでも成長しない。
安倍内閣以降の政権が叫んできた「成長」は「大企業利益の成長」に過ぎない。
大企業が利益の成長をどう実現するか。
方法は二つ。
第一は労働者への分配を減らすこと。
第二は大企業以外が営む営利事業を強奪すること。
この目的を達成するために実行されたのが「成長戦略」である。
労働規制を撤廃し、農業、漁業、林業への大企業参入を促進し、公的事業を大企業に譲渡する施策が推進された。
すべてに共通するのは大企業利益の極大化だ。
格差問題に対して、これを是正するのではなく、これを拡大することを熱烈推進したのである。
その政策を見直すべきときが来ている。
岸田文雄首相は「新しい資本主義」を唱えるが、いまのところ「新しさ」は皆無。
「古い資本主義」を完全踏襲している。
抜本改革には政治刷新が必要不可欠であることが改めて確認されている。
「分配問題」こそ今日の主要テーマである。
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