自民大勝立憲惨敗維新躍進総選挙
10月31日に投開票された第49回衆議院総選挙は
岸田自民大勝
枝野立憲惨敗
維新躍進
れいわ善戦
の結果に終わった。
自民党は選挙前勢力の276から議席を減らしたものの、単独で絶対安定多数の261を確保した。
菅義偉首相が続投して総選挙に突入していれば自民党は大幅議席減を免れなかったと考えられることを基準に考えれば、岸田自民大勝と言ってよい。
他方、野党第一党の立憲民主党は解散時議席109から13議席減の96になった。
安倍・菅政治に対する国民の不信の大きさを踏まえれば、政権交代=政治刷新実現の可能性すら存在したことを踏まえれば大惨敗に終わったと言える。
維新は4倍増に迫る大躍進を示した。
大阪を中心に議席を積み増したが、比例代表でも25議席を獲得して国政第三党に躍り出た。
自民261、維新41、国民11の三党議席数合計は313となり衆院3分の2の310を超えた。
自民党が右旋回すればこの三党で憲法改定に進むことも考え得る状況だ。
維新の政治的主張の位置は公明党よりも右寄りで、自民党は連立政権パートナーとして公明だけでなく維新を保持する状況に移行する。
今回の選挙結果を生んだ要因は次の三点。
第一は自民党岸田文雄氏が立憲枝野幸男氏よりも主権者から高く評価されたこと。
第二は立憲民主党の優柔不断な姿勢が主権者の不信を生んだこと。
第三は政権刷新への期待が高まらず投票率が十分に上昇しなかったこと。
枝野幸男氏は「岸田首相を選ぶか枝野首相を選ぶかの選挙」との主張を示したが、多くの主権者が枝野首相ではなく岸田首相を選択した。
自民党党首が菅義偉氏のまま総選挙に突入していたら自民党獲得議席は大幅減少したと考えられる。
岸田文雄氏は金融所得課税強化の公約を撤回するなど、政策路線にブレが見られたが、人間性の印象で菅義偉氏をはるかに上回る。
枝野幸男氏と岸田文雄氏のどちらの好感度が高いかは明白。
枝野幸男氏は自身の人間力、好感度が著しく低いことを認識する必要がある。
立憲民主党は一部選挙区で自民党大物議員を落選させる快挙を示した。
その快挙を生み出した原動力は「野党共闘」にあった。
反自公の主権者の意思を束ねることにより、自民党長老を敗退に追い込むことが可能になった。
ところが、立憲民主党の枝野幸男氏は野党共闘に対して優柔不断姿勢を変えなかった。
枝野氏は「共闘の対象は国民民主党と連合であって共産、社民、れいわと共闘しない」と述べ続けた。
多くの選挙区で共産党などの協力を得て票を獲得する一方で、野党共闘を否定する言動を繰り返し、野党共闘に賛同する主権者、野党共闘に反対する主権者の双方から不信を招いた。
選挙演説も大声でがなり立てるだけで熟議を尽くして主権者に寄り添うスタンスが希薄だった。
総選挙結果を受けて抜本的な改革が必要であるのは立憲民主党。
立憲民主党が野党共闘を否定し、大企業御用組合の利害を代表する路線を鮮明にするなら国民民主党と合流すればよいだろう。
立憲民主党が大企業御用組合の利害代表者ではなく、一般労働者の利害を代表する勢力として存続するなら、明確に野党共闘路線を提示するべきだ。
自民党は大善戦したが小選挙区で敗退した甘利明幹事長は自身の選挙結果を受けて幹事長を辞任する。
枝野幸男氏は衆院総選挙大惨敗の責任を明確にする必要がある。
立憲民主党は今後の政治路線を明確にするとともに、党の顔を刷新する必要がある。
自民党が党勢を維持した最大の背景は党の顔が刷新されたことにある。
焦点は幹事長人事に移る。
また、岸田内閣発足時に茂木外相が留任となったが、選挙後の内閣発足に際して外相の交代も考えられる。
岸田文雄氏は衆院総選挙を乗り切ったことで岸田氏が主導する体制を構築する足場を築いたと言える。
岸田新体制がどのように再構築されるのかも重要な注視点になる。
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