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2021年5月 4日 (火)

国民投票CM規制を先送りするな

日本国憲法は第98条に改正についての定めを置いている。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

したがって、憲法改正そのものを全面的に否定することは適正でない。

だが、憲法は通常の法律と異なる。

憲法は国家権力の暴走を阻止するための防波堤の役割を担う。

憲法によって国家権力の暴走を防ぐ。

これが「立憲主義」の考え方。

このことから、憲法を変える際のハードルが高く設定されている。

憲法改正発議に必要な要件の第一段階として、

「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し」

と定めている。

さらに、

「この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」

と定めている。

その手続きを定めた法律が国民投票法であり、今国会でその改正が審議されている。

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憲法は国家権力の暴走を阻止するための防波堤。

そのために、憲法改正のハードルが高く設定されている。

国民投票において、過半数の賛成で承認されることになるが、この国民投票の投票率が極めて低い場合、何が生じるのか。

日本の主権者少数の賛成で憲法が変えられてしまう。

したがって、国民投票における最低投票率を定めること、あるいは、全有権者の過半数の賛成を必要とすること、などの措置を検討する必要がある。

現在の国民投票法においては、

たとえば、テレビやラジオでの政党のスポットCMについて、投票前の14日間を除いて規制がなく、費用制限や罰則すらない。

また、一定の投票率に達しなかった場合に、投票そのものを不成立とする最低投票率の定めもない。

CMや広告に対する規制を定めておかなければ、巨大な資金を投下する勢力の主張が押し通されることになる。

現代日本民主主義の最大欠陥がこの部分にある。

人々の情報入手のツールであるマスメディアが資金力=資本力によって支配されている。

このため、主権者である国民の判断が特定の方向に誘導されている。

民主主義が正常に機能しない状況が生み出されている。

この状況下で憲法改正について、資金力=資本力による情報操作が容認されるなら、国家権力の暴走を防ぐために創設された砦としての憲法は、簡単に破壊されてしまうことになる。

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立憲民主党がCM規制等について「施行後3年をめどに法制上の措置を講じる」ことを改正案付則に盛り込むことで採決に応じる方針を決めたと伝えられている。

このような行動を取るから立憲民主党が信頼を失う。

CM規制が重要であるなら、その細目を具体的に定めることを採決の条件にするべきだ。

これはにわかに浮上した問題でない。

2007年の国民投票法成立時点で、テレビなどのスポットCM規制などが争点になった。

この問題を先送りして法律を成立させた経緯がある。

14年経って法改正をするにあたり、「施行後3年をめどに法制上の措置を講じることを付則に盛り込む」ことで改正を容認するのは腰が引けすぎている。

自民党が、誰もが納得する憲法改正案を提示しているなら、弱腰対応を理解できないこともない。

しかし、自民党が提示する憲法改正案は、日本国憲法を大日本帝国憲法に差し替える性格を有するもの。

憲法尊重義務を国民に課す自民党憲法改定案(壊憲案)は、「立憲主義」そのものを否定するもの。

基本的人権の永久不可侵性を明記する第97条は丸ごと削除される。

緊急事態条項創設は独裁政治を生み出す秘密兵器であると理解される。

自民党が目論む憲法改定=壊憲を後押しするための国民投票票改正案採決を容認する立憲民主党を糾弾する必要がある。

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