命犠牲の営利スポーツ興行いらない
近代オリンピックの父と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン男爵が唱えたのは、
「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」
という「オリンピズムの根本原則」だった。
しかし、現在のオリンピックは、「オリンピズムの根本原則」に反するものになっている。
出場選手を含めて「営利」が根本原則に置き換わっている。
したがって、五輪を特別視する理由が消滅している。
アスリートが努力し、その成果を競い合うことに意義はあるが、努力をして成果を競い合うのはスポーツの分野に限られたことでない。
あらゆる分野で広範に広がっていること。
そして、努力を積み重ねる動機に「営利」が含まれている場合が圧倒的に多い。
野球もサッカーも、それ以外のジャンルでも「営利」を度外視する分野は稀有である。
商業資本がスポーツに介入してスポーツを営利事業化している側面も強い。
「営利」を目的に人が努力を積み重ねることはスポーツ以外の多くの分野でも観察されること。
スポーツだけを例外視、神聖視する合理的な理由が存在しなくなっている。
かつてのオリンピックはアマチュアリズムを基礎に置いていた。
アマチュアリズムは「非営利」を基礎に置く点で稀有な価値を有していた。
東京五輪開催の是非を考察する際に、現代オリンピックの本質を踏まえることが必要。
現代オリンピックの本質、特質はIOCの姿勢に鮮明に表れている。
日本でコロナ緊急事態宣言が発出されたことについて、IOCのバッハ会長は
「五輪開催と関係がない」
と述べた。
コロナ感染が拡大するなかで五輪開催を強行すれば、さまざまな問題が噴出する。
最大の問題は、日本国民の生命の危険が増大すること。
コロナ変異株が相次いで確認されている。
多数の選手、関係者が日本に入国することによって、新たな変異株が日本国内に持ち込まれる可能性は高い。
つまり、五輪開催によって日本国民の生命・健康リスクが増大する。
IOCは五輪主催者として五輪開催が日本国民に与える影響について責任を負う。
日本国民の生命・健康リスクを増大させて五輪開催を強行する権利をIOCは持たない。
仮に日本国民が五輪開催によって被害を蒙れば、当然のことながら、IOCに対して損害の賠償を求めることになる。
IOCが五輪開催を強行しようとする最大の理由は「営利」。
五輪開催によるテレビ放映権料を獲得するために五輪開催強行を主張している。
IOCが五輪開催を強行して獲得する収入の一部が日本のスポーツ各団体に配分される。
したがって、日本のスポーツ各団体も五輪収入の分配金を得るために五輪開催強行を主張する。
IOCの利害、各スポーツ団体の利害と日本の主権者国民の利害が対立する。
このとき、利害調整に最終責任を持つのは日本政府だ。
IOCが開催決定権限を有するとはいえ、東京五輪が開催される場所は日本である。
日本における興業の実施可否について、最終的な権限と責任を有するのは日本政府である。
日本政府が日本国内でのスポーツ興行の実施可否について最終的な決定権限を持たないなら、日本は主権国家と言えない。
日本政府は日本の国家主権を放棄することを宣言することになる。
日本の主権者は国民だ。
政府は国民の負託を受けて国民のために権力を行使する立場。
日本の主権者国民がみずからの生命と健康を守るために、五輪開催を否とするなら、日本政府がその国民意思を踏みにじることは許されない。
五輪自体がかつてのアマチュアリズム発現の場ではなくなっていることも重要。
五輪が営利目的のスポーツ興行になっている現状を踏まえてコロナ感染対策の一環として速やかに中止を決定するべきだ。
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