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2021年3月15日 (月)

拭えぬ震災原発事故10年イベント感

東日本大震災、フクシマ原発事故から10年の時間が経過した。

満10年に合わせて各種特集が組まれたがイベント感を否めない。

「イベント」であるというのは、10年のタイミングに多くの企画が策定されてそれを実施することが目的になってしまい、10年の瞬間が通過してしまえば、何も残らないということ。

原発事故10年が済んだら、次は五輪だ。

この感覚でものごとが進められている。

震災被害も原発事故も過去の出来事ではない。

いまなお持続する事象だ

震災は自然災害であるから歴史の彼方から現在まで繰り返されてきたこと。

人は忘れやすい。

遠い過去に発生した津波の災害を風化させてきてしまった。

歴史の教訓を忘れることなく現在まで引き継いできたなら、被害を軽微にすることができたかも知れない。

西暦869年に発生した貞観地震とこれに伴う大津波の教訓は十分には生かされなかった。

1896年にも明治三陸地震が発生して岩手県綾里(現大船渡市)で38.2メートルの遡上高が記録されている。

自然災害の歴史を振り返り、その教訓を生かすことが求められる。

しかし、フクシマ原発事故は自然災害とはまったく異なる属性を持つ。

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フクシマ原発事故は自然災害でなく人災である。

フクシマ原発事故により原発安全神話は崩壊した。

放射性物質が外部に放出されることを防ぐ五つの防御壁は簡単に吹き飛んだ。

原発が電源を失うだけで原発は崩壊する。

冷却機能を失った原子炉ではむき出しになった燃料が溶融して圧力容器も格納容器も溶かしてしまう。

実際にフクシマ第一原発の1号機、2号機、3号機で核燃料が溶融。

メルトダウンが起きてしまった。

3月12日のNHK正午のニュースは原発メルトダウンの事実を伝えるものだった。

ところが、ニュース原稿が読み上げられたあとに、横から、

「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって」

の声が入り、アナウンサーは7秒間の沈黙を示し、別の原稿に差し替えられた。

福島第一原発では、地震発生から約1時間後の当日15時42分に、原子力安全・保安院に対して、東京電力から福島第一原発1、2号機で炉心を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が稼動しなくなったとの報告が入っている。

この報告を受けて「原子力緊急事態宣言」が発出された。

2011年3月11日16時36分のこと。

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「平成23年(2011年)16時36分、東京電力(株)福島第一原子力発電所において、原子力災害対策特別措置法第15条1項2号の規定に該当する事象が発生し、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要があると認められたため、同条の規定に基づき、原子力緊急事態宣言を発する。」

直ちに、原発周辺20キロ圏内の住民の避難が必要だったが、避難措置は講じられなかった。

枝野幸男官房長官は次のように述べた。

「原子炉そのものにいま問題があるわけではございません。

万が一の場合の影響が激しいものですから、万全を期すということで、緊急事態宣言を発令して、最大限の万全の対応をとろうということでございます。

放射能が現に漏れているとか、現に漏れるような状況になっているということではございません」

しかし、このときすでに福島第一原発は全署停電=ステーションブラックアウトに陥っていた。

事実を正しく国民に伝えたと言えない。

原子炉が電源を失えば燃料の冷却が不可能になる。

むき出しになった燃料は2000度の温度で溶融し、圧力容器、格納容器を溶融させてしまう。

1号機では格納容器も溶かされて核燃料が外部に流出した疑いが強い。

原発周辺ではいまなお高レベルの放射線が観測されている。

日本の国民の人為的影響による被曝上限は法律で年間1ミリシーベルトと定められている。

ところが、原発周辺地域では年間線量20ミリシーベルトの場所に住民が居住を強制されている。

原発事故被災者への放射線被曝を放置しているのが菅内閣である。

この状態を放置してフクシマから「復興五輪」の聖火リレーをスタートさせることは犯罪行為である。


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