総務省菅長男接待疑惑全容解明不可欠
菅義偉氏は昨年9月の自民党総裁選に際して、
「私ども(政治家は)選挙で選ばれている。何をやるという方向を決定したのに、反対するのであれば異動してもらう」
と述べた。
実際に菅義偉氏は、官房長官の地位にあった2014年末にふるさと納税制度の拡充を推進するなかで、菅氏に意見した総務省局長を更迭した。
総務省自治税務局長の職にあった平嶋彰英氏は、寄付控除の倍増等の施策について、富裕層優遇と返礼品競争の過熱につながる恐れが高いとして規制の必要性を菅氏に具申した。
菅氏は「雰囲気が盛り上がっている中で、水を掛けるようなのはダメ。時間切れもダメだ」と主張し、翌年、平嶋氏を自治大学校長に更迭した。
しかし、現実問題として、ふるさと納税制度は富裕層優遇という致命的欠陥を有している。
菅氏は人事権の行使によって官僚を服従させる手法を多用してきた。
日本学術会議会員任命では、法律の定めによって、内閣総理大臣が学術会議の推薦した者を任命しなければならないにもかかわらず、菅氏は任命を拒否した。
圧倒的多数の法律専門家が、菅氏の行動は法律違反、憲法違反であると指摘している。
国民の代表者である国会議員の議決によって指名された内閣総理大臣とその任命による国務大臣によって組織される内閣が行政権を担う。
官僚人事が内閣に支配されるのは当然のことであるが、その権力の行使は国民の厳粛な信託によるものである。
内閣総理大臣や国務大臣が制約なしにやりたい放題することが認められているわけではない。
国務大臣は憲法を尊重し擁護する義務を負っている。
正当性のない施策に対して官僚が国務大臣の意向に反対意見を述べただけで人事権を行使して更迭するのは「権力の濫用」であって「権力の正当な行使」ではない。
菅氏はこの区別がついていない。
菅義偉氏の長男による公務員倫理規定違反の官僚接待問題が浮上している。
現時点で、総務省調査は12人の職員が国家公務員法に基づく倫理規程に違反する疑いがある会食を、のべ38件行っていたことを明らかにした。
また、山田真貴子内閣広報官も総務省総務審議官時代に首相の長男と会食をしていたことが明らかにされた。
菅氏の長男である菅正剛氏は菅義偉氏が総務大臣に就任した際、政務の大臣秘書官に起用された。
菅義偉氏は当時、週刊誌取材に対して、秘書を選挙に出してしまって人がいなかったから、バンドマンなどでブラブラしていた長男を採用したと語っている。
このときに菅正剛氏は総務省官僚の面識を得た。
大臣秘書官を辞めたあと、総務省と関わりの深い東北新社に入社した。
東北新社創業者が秋田出身で菅義偉氏の支援者だった。
東北新社には衛星放送事業を手掛ける子会社があり、菅正剛氏は東北新社の役職と衛星放送事業子会社の役員を兼務している。
衛星放送事業子会社は総務省から許認可を受ける利害関係のある事業会社である。
その許認可を受ける総務省の利害関係者である菅正剛氏が、現時点で判明しているだけで述べ13名、39件の違法性が疑われる飲食接待饗応を行っていたことが明らかになった。
菅義偉氏は東北新社創業者の植村伴次郎氏とその息子から500万円の政治献金を受けている。
菅正剛氏は総務省幹部職員に対して度重なる接待饗応を繰り返した。
そのなかで、総務省の東北新社子会社に対する対応として、とりわけ重要視されているのが2018年の認可である。
菅正剛氏が取締役を務める東北新社グループの子会社「株式会社囲碁将棋チャンネル」が2018年、総務省に「東経110度CS放送に係る衛星基幹放送の業務認定」を受けている。
当時、総務省はハイビジョン化を進めるために衛星基幹放送の大幅な組み替えを行なっていた。
認定においてはハイビジョン放送であることが重視された。
実際に、このとき認定を受けた12社16番組のうち、11社15番組がハイビジョン放送だった。
ところが、「囲碁将棋チャンネル」番組だけ、ハイビジョンではない標準画質放送であるのに基幹放送の業務認定を受けた。
このとき、認定の判断を行う最高責任者である総務省情報流通行政局長の任にあったのが山田真貴子・現内閣広報官である。
菅義偉氏の官邸記者会見で質問が多数存在するのに会見を打ち切ってしまう、いわくつきの女性である。
今回の調査では、山田真貴子氏が2019年11月に受けた飲食饗応接待の金額が一人7万4203円であったことが明らかにされた。
特別な基幹放送業務認定への返礼としての会食接待だったのか。
菅氏は東北新社から500万円の政治献金を受けている。
森喜朗氏の女性蔑視発言問題とはまったく次元の異なる巨大汚職事件の色彩を帯び始めている。
国会は問題解明に全力を挙げなければならない。
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