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2021年1月21日 (木)

巨大資本支配下に回帰した米国政治

1月20日、無事にバイデン政権が発足した。

昨年11月3日に投開票が行われた米国大統領選挙で再選を目指したドナルド・トランプ大統領が敗北した。

トランプ大統領は前回選挙での6900万票を上回る7400万票を獲得したが、バイデン候補は8100万票を獲得した。

獲得選挙人数はバイデン306対トランプ232でバイデン圧勝になった。

この獲得選挙人数は奇しくも2016年の大統領選と同数。

トランプが事前予想を覆してクリントン候補に勝利した2016年選挙の獲得選挙人数と同じになった。

2016年選挙ではクリントン女史の得票がトランプを286万票上回った。

今回はバイデン候補が705万票トランプ大統領の得票を上回った。

カリフォルニアで民主党が大勝する影響が大きいため、カリフォルニア州を除く全米での得票を見ると、2016年選挙ではトランプが141万票上回り、今回はバイデンが195万票上回った。

2016年選挙は得票数でなく獲得選挙人数からトランプの地滑り勝利と表現された。

これを踏まえると、今回選挙はバイデンの地滑り勝利になったと言える。

トランプ前大統領は不正選挙を主張したが、決定的な証拠を示すことができなかった。

したがって、選挙の集計結果に従うよりほかに道はない。

選挙の接戦状況は2000年のブッシュ(子)対ゴアの対決がはるかに際どかった。

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獲得選挙人数はブッシュ271対ゴア266でブッシュが選出されたが、選挙人数が25人のフロリダ州の得票差が537票しかなかった。

フロリダ州の結果が逆転するとブッシュ246対ゴア291でゴア勝利となる。

ゴア陣営はフロリダ州の再集計を求めたが最高裁が訴えを退けてゴア候補が敗北宣言を行った。

得票数はブッシュが5046万票、ゴアが5100万票でゴアが54万票多かった。

カリフォルニア州を除く得票数ではブッシュが75万票ゴアを上回った。

今回選挙ではコロナ感染拡大を背景に郵便投票が認められた。

その影響で投票率が著しく高まり、120年ぶりになる66%を記録した。

劣勢が伝えられたトランプがかなりの接戦に持ち込んだと言える。

それでも、不正選挙を立証できなければ選挙結果に従うしか道はない。

選挙不正は行われて良いわけがなく、選挙不正の余地を生まない選挙方法が検討されてゆかねばならない。

2016年選挙でトランプが事前予想を覆して勝利した最大の要因は、「クリントン候補を大統領にしたくない」と考えた有権者が多かったことによると判断できる。

今回選挙でバイデンが勝利した最大の理由は、「トランプ再選を阻止したい」と考えた有権者が多かったことによると判断できる。

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2016年のトランプ大統領誕生は意義深いものだった。

米国支配者の支配下に位置しない者が米国大統領に選出されたからだ。

米国支配者とは、軍事、金融、多国籍の巨大資本のこと。

歴代米国大統領は基本的に、この米国支配者の支配下に位置する者だ。

トランプがその慣習を打ち崩した意義は大きかった。

しかし、トランプ大統領は米国の所得格差是正、米国の分断を是正する抜本的行動を示さなかった。

TPPから離脱したが、対日政策ではTPP以上の成果を求める米日FTAを推進した。

対中国政策では自由貿易の基本から外れる高率関税適用に突き進んだ。

そして、白人至上主義的傾向を持つ施策を推進した。

経済政策の基本には富裕層と大資本に対する減税措置が置かれた。

所得格差の是正ではなく所得格差の拡大を推進する施策だった。

民族間の分断、所得階層間の分断は推進された。

その結果としての2020年大統領選結果であると判断できる。

バイデンは「トランプでないこと」を背景に新大統領に選出されたが、これで米国に理想郷が広がるわけではない。

米国大統領は元の米国支配者の支配下に位置する者に回帰した。

米国は元の米国に回帰しただけである。

バイデン新大統領が振出しに戻った米国において、多くの米国民の期待に副う政策運営を示せなければ、新たな失望を生み出すリスクに直面する。

トランプに投票した7400万人の有権者は厳しい目で新政権の一挙手一投足に注目することになる。

分断された米国の再統合の道は容易でない。

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