コロナだけでない緊急事態宣言
コロナ感染拡大を受けて「緊急事態宣言」が発出された。
GoToで感染拡大に全力を挙げて、感染が爆発したところで「緊急事態宣言」発出。
究極のマッチポンプ。
感染拡大が日本全国に行き渡ったことはGoTo抜きには理解不能。
11月3連休前にGoTo見直しの提言が示された。
「英断を心からお願いする」
とまで言われた。
菅義偉首相はこの提言を跳ねのけて感染拡大推進に突き進んだ。
その成果としての感染爆発だ。
しかし、発出されている緊急事態宣言はコロナ感染症に関するものだけではない。
「原子力緊急事態宣言」
も発出されたままだ。
この事実を知らない人が多い。
2011年3月11日14時46分、宮城県牡鹿半島の東南東沖130
キロメートルの海底を震源として、東北地方太平洋沖地震が発生した。
地震の規模は、日本における観測史上最大のマグニチュード9.0と発表された。
同日、原子力緊急事態宣言が発令された。
「平成23年(2011年)16時36分、東京電力(株)福島第一原子力発電所において、原子力災害対策特別措置法第15条1項2号の規定に該当する事象が発生し、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要があると認められたため、同条の規定に基づき、原子力緊急事態宣言を発する。」
これが「原子力緊急事態宣言」の全文。
当時の枝野幸男官房長官は、
「原子炉そのものにいま問題があるわけではございません。
万が一の場合の影響が激しいものですから、万全を期すということで、緊急事態宣言を発令して、最大限の万全の対応をとろうということでございます。
放射能が現に漏れているとか、現に漏れるような状況になっているということではございません」
と述べたが、すでにこのとき、福島第一原発は全署停電=ステーションブラックアウトに陥っていた。
原子炉が電源を喪失すれば、原子炉を冷却する装置が作動しなくなる。
原子炉内の水分が完全に蒸発し、核燃料がむき出しの状態になれば、燃料が溶融を始めるのは時間の問題。
実際に福島第一原発はステーションブラックアウトにより、1、3、4号機の原子炉建屋で相次いで水素爆発が発生し、大量の放射性物質が外部に放出する人類史上最悪レベルの放射能汚染災害を生じた。
福島第一原発では、地震発生から2時間も経過していない当日15時42分に原子力安全・保安院に対して、東京電力から福島第一原発1、2号機で炉心を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が稼動しなくなったとの報告が入っている。
NHKは2011年3月12日正午のニュース放送で次のように放送した。
https://www.youtube.com/watch?v=WHUyLdPhcbg
「原子力発電所に関する情報です。
えー、原子力安全保安院などによりますと、福島第一原子力発電所一号機では、原子炉を冷やす水の高さが下がり、午前11時20分現在で、核燃料棒を束ねた燃料集合体が水面の上、最大で90センチほど露出する危険な状態になったということです。
このため消火用に貯めていた水など、およそ2万7000リットルを仮設のポンプなどを使って水の高さをあげるための作業を行っているということです。
この情報を繰り返します」
この原稿を読み上げたあと、約7秒間の沈黙があり、横から。
「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって」
という声が入った。
アナウンサーは、当初の原稿を繰り返さずに別の原稿を読み上げた。
原子炉メルトダウンの事実が3月12日から隠蔽された。
一般公衆の被ばく線量上限は原子炉等規制法および放射線障害防止法に基づいて年間1ミリシーベルトと定められている。
ところが、福島原発周辺の原発事故被災者に対して安倍内閣、菅内閣は、2015年6月12日の閣議決定で
「空間線量率で推定された年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実であること」
を避難措置解除の要件とした。
年間線量20ミリシーベルトの地域に住民を居住させることを決めたのだ。
これは「原子力緊急事態宣言」下で初めて可能になる措置だ。
コロナの緊急事態宣言、放射能の緊急事態宣言を発出しながら、五輪騒ぎに興じることは不見識だ。
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