郵便投票開票待ちの米大統領選決着
11月3日に投票日を迎えた米国大統領選の開票作業が進められている。
現職のトランプ大統領は大票田のテキサス州、フロリダ州の勝利を得た。
日本時間の11月4日20時時点で獲得した選挙人の数は
トランプ213 対 バイデン225。
バイデン候補はネバダ州、アリゾナ州でも勝利する可能性が高い。
この州の選挙人の数を加えるとバイデン候補の獲得選挙人の数は242になる。
過半数は270でバイデン候補がこれ以外に28人の選挙人を獲得すると勝利することになる。
カギを握るのは
ミシガン(16)、ウィスコンシン(10)、ペンシルベニア(20)、ノースカロライナ(15)の激戦4州。
今回の大統領選では投票者数が1億5000万人を超える可能性があり、うち半数が郵便投票を選ぶとも予測されている。
すでに投票結果が判明しているフロリダやオハイオでは、投開票日より前に郵便投票の封筒の開封を認めているため、当日に集計が終わった可能性がある。
しかし、ウィスコンシンやペンシルベニアでは投票日まで開票作業を始められないことが州法で決まっている。
また、約半分の州は11月3日までの消印のものなら、投票日以後に届いた投票用紙も受理する。
これらの郵便投票の開票が完了するには長い時間が必要になる。
トランプ大統領は現地時間の11月4日午前2時過ぎに、自身の優勢をアピールしたが、現時点で最終的な決着はついていない。
郵便投票の開票結果を合算した結果、バイデン候補が勝利と判定される場合には、トランプ大統領が開票結果を不服として提訴すると考えられる。
ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ノースカロライナの11月3日の即日開票結果ではトランプ大統領がリードしているが、投票所の投票結果でトランプが優勢になることは事前に見込まれていた。
郵便投票の多くがバイデン票であると推定されており、郵便投票結果を合算した結果がどうなるかは予断を許さない。
米国大統領選は事前に想定されていたように、波乱含みの展開になっている。
カギを握るのはミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ノースカロライナの4州の最終開票結果。
今回の大統領選が明らかにしたことは、トランプ支持とトランプ不支持に米国が完全に二分されている現実だ。
トランプ大統領の主張が鮮明で、米国内のさまざまな属性を持つ人々の対立を激化させる側面を強く持つ。
トランプ大統領が次の4年間を続投することになれば、米国内の分断、対立はより先鋭化する可能性が高い。
しかし、見落とせないことは、この「アクの強い」トランプ大統領を支持する米国民が多数存在すること。
トランプ大統領は米国在住の白人層、キリスト教福音派の支持を固めている。
この人々は、米国内の分断、対立が強まっても、自分たちの利益が守られることを優先していると考えられる。
トランプ大統領は白人至上主義の傾向を隠そうとしないが、本音ベースでこの考え方に賛同する米国民が極めて広範に、多数存在することが改めて明確になっている。
数日のうちに開票結果が明らかになるだろう。
獲得選挙人数はかなり接近したものになる可能性がある。
トランプ氏の獲得選挙人数がバイデン氏を上回る場合には、早期の決着が見込まれるが、バイデン氏の獲得選挙人数がトランプ氏を上回る場合には、トランプ氏が訴訟を提起して、問題の着地に長時間を要する事態に移行する可能性が高い。
郵便投票についてはトランプ大統領が不正選挙の可能性を指摘しているが、むしろ疑惑が存在するのはトランプ大統領陣営が郵便選挙の妨害を行ってきた可能性だ。
バイデン陣営がこの問題を提起するなら、トランプ氏が投票結果で多数の選挙人を獲得した場合でも混乱が長引く可能性がある。
トランプ大統領は既往の米国の支配者による米国支配の構造に風穴を開けたという実績を有する。
そのこと自体に意義はあるが、他方で、多様な民族が自由と民主主義の旗の下に結集し、融合するという米国合衆国の基本理念を破壊する側面を強く有する。
白人至上主義の強化は米国の分断、格差拡大を促進するものである。
中国に対する強硬姿勢も世界経済の波乱を拡大させる要因になる。
このトランプの時代がさらに4年間維持されるのか。
大統領選挙の開票結果に強い関心を注ぐ必要がある。
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