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2020年10月10日 (土)

菅義偉という人物の教養レベル露見は正論

静岡県の川勝平太知事が菅義偉首相による日本学術会議会員任命拒否について

「菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見したということでないかと思います。」

と発言したと報じられた。

日本学術会議法には

第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する。

2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

の条文が置かれている。

ここに明記されている日本学術会議の推薦と内閣総理大臣の任命の手続きについて、日本政府は国会答弁で次のように答えている。

1983年5月12日、参院文教委員会で当時の中曽根康弘首相答弁。

「政府が行うのは形式的任命にすぎません」

同年11月24日、参院文教委員会での日本共産党の吉川春子参院議員の質問に対する丹羽兵助総理府総務長官の答弁。

「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく」

日本学術会議の推薦の要件は

「規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考」

である。

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日本学術会議が優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考して推薦した場合、

内閣総理大臣は推薦された者を拒否せず、そのとおり形だけの任命をする

ことが確認されている。

今回の事例は日本学術会議が推薦した候補者のうち、6名の任命を拒否して99名だけを任命したもの。

これは日本学術会議法の定めならびにその運用についての政府対応に反している。

「日本学術会議法」違反に当たる。

このことが問題にされている。

これに対して、菅内閣は日本学術会議そのもののあり方についての見直しをする必要性を主張している。

日本学術会議のあり方についての見直しの方針を示しても構わない。

しかし、今回の、学術会議が推薦した候補者の任命を菅首相が拒否した問題と、学術会議の見直しの問題はまったく別のもの。

任命拒否が問題になっているときに学術会議の見直しの話を持ち出しても何の意味もない。

「頭が悪い」と表現すれば語弊があるが、川勝知事の「教養のレベルが露見した」のコメントは正鵠を射たものに感じられる。

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菅内閣は

「首相に日学法第17条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」

「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」

と説明するが、日本学術会議法第17条の会員推薦の基準には

「優れた研究又は業績がある科学者」

と表現されているだけで、「総合的」という言葉も「俯瞰的」という言葉も使われていない。

1983年政府答弁は任命に際して学術会議の推薦に基づき、拒否せずに、推薦のとおりの形だけの任命をすることを明言している。

「義務」という言葉を使おうが使うまいが、誤解が生じる余地がない。

この問題と学術会議の見直しはまったく別次元の話。

菅首相が追及されているのは学術会議の推薦のとおりの形だけの任命を拒否したこと。

しかも、菅首相は任命を拒否された6名を含む105名の推薦者リストを見ていないと答えた。

これもミステリーだ。

任命権者である内閣総理大臣菅義偉氏が6人を任命拒否したのに、菅首相が、6人が記載されたリストを見ていないというのだ。

菅首相は就任から1ヵ月以上も所信表明も行わず、フリーに質問が許される記者会見も開かない。

職務怠慢と言うほかない。

菅内閣は学術会議問題で躓き、想定外の速さで退場する可能性が高まりつつある。

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