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2020年10月14日 (水)

教養のレベル・反知性主義のツボ

日本学術会議会員任命拒否問題が続いているなかで菅内閣が支配下のメディアを動員して不正を押し通す姿勢を示している。

「「日本学術会議」の正体とは 「非民主的」「野党のようなもの」大学教授ら語る」(週刊新潮)

「日本学術会議の任命拒否問題は「学問の自由」とは全く関係がない」(President)

「看過できない、日本学術会議と中国「スパイ」組織との協力覚書」(iRONNA=産経新聞)

などの主張を御用メディアが大きく取り上げる。

いずれも日本学術会議のあり方を問題にする主張だ。

日本学術会議のあり方に異論があるなら大いに論じればよい。

しかし、今回の問題は日本学術会議のあり方の問題ではない。

「法の支配」の問題だ。

日本学術会議法という法律が定められており、その運用方法が政府の国会答弁で確定されている。

運用方法についての政府公式見解を含めて法律の実体が成立している。

菅首相による任命拒否が法律違反になることが問題の本質だ。

法治国家であるなら法の遵守は当然のこと。

日本学術会議のあり方に問題があると考えるなら大いに議論を深めて、必要があれば法律の運用方法を改めるなり、法律を改正するなりの対応を取ればよい。

法律違反事案の論議をせずに日本学術会議のあり方を論じるのは単なる問題のスリカエだ。

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「教養のレベル」、「反知性主義」の論議は、この視点から指摘されるべきもの。

ものごとを論理的に考えることができるかどうか。

これが「教養のレベル」、「反知性主義」の問題だ。

会員任命拒否事案は純粋な法律問題。

菅内閣は日本学術会議が推薦した105名の会員候補のうち、6名を任命拒否した。

日本学術会議法は第17条で「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する」と規定している。

同時に第7条で「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命するものとする」と定めている。

「学術会議による推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」とのプロセスの運用については1983年の政府答弁が明らかにしている。

1983年5月12日の参院文教委員会で当時の中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁。

また。同年11月24日の参院文教委員会で丹羽兵助総理府総務長官が「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく」と答弁している。

したがって、日本学術会議が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから」の規定を遵守して会員候補を推薦する限り、内閣総理大臣はその候補者をそのとおりに任命する必要がある。

これを変更するには運用の改定または、法律の改定が必要になる。

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日本学術会議のあり方に問題があるというのが菅内閣の主張であるなら、その論議を大いに展開すればよい。

当然のことながら、反論も噴出するだろう。

その際に焦点になるのは「学問の自由」の問題だ。

しかし、これと今回の問題は別次元のもの。

法律違反があったのかどうかを確定し、法律違反があったなら違反の状態を是正する必要がある。

菅首相は任命拒否を撤回して日本学術会議が推薦した105名を会員として任命するべきだ。

その上で、日本学術会議のあり方を論じればよい。

このように論理的に考えることができるかどうかが「教養のレベル」、「知性主義」か「反知性主義」かの問題。

日本学術会議法は前文に

「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」

と明記している。

「平和的復興」、「人類社会の福祉」に貢献することを掲げている。

日本学術会議見直し論の根底は「戦後民主主義」の否定だ。

戦後民主主義の最大かつ最後の牙城が「日本国憲法」。

日本学術会議見直しを主張する者が日本国憲法の改定を主張する者であることを認識することが重要だ。

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