泰山は土壌を譲らず
日本政治が新しいステージに移行すると言いたいところだが、政治リニューアルの空気は広がらない。
内閣と自民党はトップをすげ替えるが、これまでの政治の総括すら行われない。
不祥事続きの首相、自民党代表がこれまでの政策失敗、不祥事にけじめをつけることもなく、病気を隠れみのにして逃亡する。
菅義偉氏が後継首相、自民党代表に就任するが、これは安倍首相が安倍内閣の罪状の数々を不問に付すために編み出されたシナリオに基づくもの。
政策失敗と内閣支持率急落に直面し、1年以内に実施しなければならない衆院総選挙対策として三文芝居の脚本が書かれたものだ。
安倍首相辞意表明をマスメディアが美談に仕立て上げた。
内閣支持率上昇をねつ造して公表することなど御用メディアにとっては朝飯前のこと。
マスメディアの情報誘導に絡め取られてしまう人々はメディアが発表する内閣支持率上昇情報を鵜呑みにする。
新内閣発足のご祝儀ムードが創作されるなかで衆院総選挙を実施してしまおうとしている。
臨時国会の会期は3日間とされた。
野党は憲法第53条に基いて臨時国会召集を要求してきたのだから、召集される臨時国会を内実のあるものにすることを求めるべきだが、立憲民主党は3日間の会期を受け入れた。
9月末に再度臨時国会が召集され、所信表明演説、代表質問が行われた後、衆院が解散される可能性が高い。
衆院総選挙は11月1日とされる可能性が高まっている。
コロナで総選挙どころの状況ではないが、自民党には選挙を急ぐ事情がある。
2020年度に第1次、第2次補正予算が編成された。
総額58兆円に及ぶ巨大予算である。
当初は「ドケチ」の対応を示した自民党のスタンスが急変して巨大予算が編成された。
その最大の目的は利権バラマキ巨大予算を選挙買収資金として活用すること。
財政資金配分は極めて不透明なものになった。
58兆円の予算規模があれば、条件なし一人一律10万円給付と消費税率5%の4年間実施を実行できる。
必要財源は57兆円。
このような透明、公正な補正予算を編成するべきだった。
しかし、安倍内閣はこのような透明、公正な財政支出を嫌う。
特定の人や企業に政府のさじ加減で財政資金を配分する「利権財政支出」を好む。
この「利権財政資金」によって「票と金」を獲得するのだ。
GoToキャンペーンもその典型だ。
自公支持の業界に巨大な財政資金を集中的に投下する。
財政資金配分を受けた業界が選挙の際に票とお金を出す主力部隊になる。
晩秋から来春にかけてコロナ感染第2波が襲来する可能性がある。
東京五輪の大幅見直しも必死の情勢だ。
経済がどのように推移するのかも見通せない。
2008年から2009年にかけての麻生太郎内閣が政権発足直後の解散総選挙を企図しながら、結局は2009年8月の任期満了に近い選挙に追い込まれ、政権を失った。
この轍を踏まぬよう、今回は政権発足直後の衆院解散・総選挙を目論んでいると見られる。
政権移譲は安倍氏と麻生氏が相談して決めたと見られる。
麻生氏は早期解散総選挙を条件に菅氏支持を決めたと見られる。
早期の衆院総選挙が見込まれる情勢だ。
政治刷新の空気が広がらないのは野党にも原因がある。
立憲民主と国民民主は合流新党を創設するが、新党の名称は立憲民主党、代表は枝野幸男氏で変わらない。
解散する国民民主党の一部の人々が再び国民民主党を創設し、同じ人物が代表に就任する。
立憲民主党代表に就任する枝野幸男氏が、消費税増税の誤りを認めて、新たに消費税減税を衆院総選挙の争点に位置付けると宣言すれば、出直し感はある。
また、枝野氏は代表選の公開討論でれいわ新選組との連携について聞かれて「門戸は開かれている」と「上から目線」丸出しの発言を示した。
「基本政策を共有できればぜひとも手を携えて戦って行きたい」
位の発言を示すべきだった。
懐の広さ、大きな器量がなければ大山をなすことは難しい。
「泰山は土壌を譲らず」
という。
基本政策を共有する強固な野党共闘を構築できるかどうかが衆院総選挙の最大の焦点になる。
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