「国民のために働か内閣」
コロナへの対応が二つに割れている。
最大の警戒を払う人々が多数存在する一方で、「コロナはただの風邪」と判断して積極的に濃厚接触を行う人々も存在する。
日本国憲法に
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
との条文が置かれているから、各個人がいかなる思想及び良心を保持していても、それは尊重される必要がある。
ただし、日本国憲法には
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
との条文も置かれている。
基本的人権が制限される要件として
「公共の福祉」
が規定されている。
「公共の福祉」は、尊重されるべき基本的人権の間の利害調整の意味が強い。
基本的人権は尊重されるべきだが、他の個人の基本的人権を侵害する場合には、利害調整が行われなければならないということだ。
航空機におけるマスク着用の問題についても、基本的人権の利害調整が課題になる。
マスクを着用しないことが他の乗客の基本的人権を侵害する場合には、その利害調整をすることが必要になる。
乗客の降機命令については航空法第七十三条の四に規定が置かれている。
「航空機内にある者が安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置をとり、又はその者を降機させることができる。」(一部抜粋)
と定められている。
降機はマスク着用の有無に直結するものではなく、航空法第七十三条の規定に基づくもの。
閑話休題。
コロナへの対応が二分されているが、重要なことは事実の確認だ。
事実に対する認識が異なるから対応が割れていると言える。
公表数値を基準に判断するしかないが、公表数値の信ぴょう性に対する判断自体が割れている。
公表されている数値を基準にコロナ致死率を見てみる。
致死率は検査での陽性者のうち、どれだけの比率で死亡しているのかを示す。
検査が十分に行われている国でなければ正確な致死率は算出されない。
東アジアで検査が多く実施されているのがシンガポールと香港。
人口100人当たりの検査数はシンガポールが46人で香港が44人。
因みに日本は1人にとどまる。
シンガポールの致死率は0.05%、香港の致死率は2.06%だ。
欧米で検査が多く行われている英国と米国の数値を見てみる。
100人当たり検査数は英国が33人、米国が30人。
致死率は英国が10.2%、米国が2.9%。
シンガポールの数値がコロナの実態を示すなら過大な警戒は不要ということになる。
しかし、実態が香港の数値であれば話は変わる。
2009年に流行した新型インフルエンザの致死率が0.5%以下と推定されている。
この4倍の致死率は強い警戒を必要とするものだ。
人口の6割が感染して集団免疫を獲得する場合、陽性者数の2%が死ぬことになると、日本では150万人が死亡することになる。
150万人の死亡を放置することは許されない。
欧米の被害が深刻で東アジアの被害は軽微とされてきたが、米国と香港の致死率に大きな違いがない。
東アジアでも致死率2%が実態であるなら、相応の厳しい対応が必要になる。
菅内閣は「コロナ軽視」に軸足を移している。
GoToトラベル事業の全面展開、五輪に向けての入国規制緩和が示された。
しかし、欧米では感染再拡大が現実化している。
行動抑制を強化する国が増えている。
この状況下でのGoToトラベル事業全面推進と外国からの入国制限大幅緩和は明らかに時期尚早だ。
菅内閣のコロナ軽視政策が次期臨時国会での最大争点になる。
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