敗戦後日本の逆コース
1945年8月15日正午、前日に公布された「大東亜戦争終結ノ詔書」を昭和天皇が朗読したレコードがラジオ放送された。
「玉音放送」と呼ばれている。
この放送で国民と陸海軍に「ポツダム宣言の受諾」と「軍の降伏の決定」が伝えられた。
日本政府は日ソ中立条約の締結国であるソ連に和平講和の仲介を託していたが、8月6日の広島市への原子爆弾投下、8月8日のソ連対日宣戦布告、8月9日の長崎市への原子爆弾投下という事態に直面して、ポツダム宣言の受諾を決定した。
日本政府は8月10日にポツダム宣言の受諾を外交公電として連合国に向けて通告した。
日本政府は同時に中立国を通じて「国体(天皇制)の変更を伴わないかどうか」を連合国側に確認した。
しかし、確答を得られぬまま、8月14日の御前会議でポツダム宣言受諾が正式に決定され、終戦の詔勅が発せられた。
日本政府は連合国に対しポツダム宣言の受諾を正式に通告した。
その詔書朗読のレコードが8月15日正午に放送された。
ポツダム宣言受諾の通告を受けて1945年9月2日に、東京湾上のアメリカ戦艦ミズーリの甲板上において、日本の降伏文書(日本と連合国との間の停戦協定(休戦協定))が調印され、即日発効した。
日本敗戦の日は正しくは9月2日である。
連合国側は9月2日ないし3日を対日戦勝記念日としている。
調印式で日本側は重光葵外務大臣、梅津美治郎参謀総長が署名した。
連合国側は、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーが4連合国(米、英、ソ、中)を代表するとともに日本と戦争状態にある他の連合国のために署名。
さらに、アメリカ合衆国代表チェスター・ニミッツ、中華民国代表徐永昌、イギリス代表ブルース・フレーザー、ソビエト連邦代表クズマ・デレヴャーンコ、オーストラリア代表トーマス・ブレイミー、カナダ代表ムーア・ゴスグローブ、フランス代表フィリップ・ルクレール、オランダ代表コンラート・ヘルフリッヒ、ニュージーランド代表レナード・イシットが署名した。
日本敗戦の日は9月2日とするのが正しい。
また、日本では「終戦の日」と称するが、正確には「敗戦の日」である。
日本政府は無謀な戦争に突入し、多くの犠牲者を生んだ。
多くの国民が兵隊として駆り出され、かけがえのない命を失った。
非戦闘員である市民も戦争に巻き込まれて、多大な犠牲を強いられた。
無謀な戦争に突入して甚大な被害をもたらした戦争責任者の責任が十分に問われることなく現在を迎えている。
戦犯容疑者は連合軍によって逮捕、拘束されたが、一部の戦争責任者は米国の対日支配戦略の一環として免責された。
その免責された戦争責任者が敗戦後日本において、米国の指揮の下に、日本の指導層として列せられてきた。
ここに敗戦後日本の歪みの原因がある。
敗戦を契機に日本は根本的な路線修正を目指したが、1947年から52年にかけて重大な路線再修正が行われて現在に至っている。
敗戦後の日本はGHQの誘導によって、徹底した民主化路線を歩み始めた。
同時に、戦争放棄を明記した画期的な憲法を制定した。
日本国憲法は日本が世界に誇ることのできる稀少で貴重な文化遺産である。
ところが、徹底した民主化路線は日本の占領支配を担った米国の変節により、米国自身の手によって根本変質させられた。
日本の進路は「逆コース」に急変した。
民主化は中止され、米国は戦争責任者の一部を米国のエージェントとなることと引き換えに免責し、「逆コース」下日本の新しい指導層として日本社会に送り込んだ。
敗戦直後の日本民主化路線と1950年頃を境に始動した日本非民主化路線は決定的な対照を示している。
そして、その後の70年間、日本は非民主化「逆コース」の路線を引き継いできた。
この「戦後史の正体」を知ることこそ重要である。
敗戦後日本の「逆コース」を誘導することを命じられた代表的人物が吉田茂と岸信介だ。
この2名の対米隷属傀儡指導者の孫二人が現在の日本の行政トップに居座っている。
戦争の放棄、戦力の不保持を定めた日本国憲法の換骨奪胎が図られている。
敗戦から75年が経過したいま、日本の「戦争をする国」への改変に突き進む日本政治の刷新が喫緊の課題になっている。
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