リーマンショック時上回るGDP大暴落か
8月17日午前8時50分に2020年4-6月期GDP速報が発表される。
同四半期の日本の実質GDP成長率が年率換算でマイナス20%を超すマイナス成長に転落した可能性が高いと見られている。
世界的に4-6月期のGDPは大幅に落ち込んだ。
コロナの影響で個人消費、設備投資、住宅投資が激減した。
最終需要の急減を主因に生産活動が急減した。
米国の4-6月期実質GDP成長率は年率換算でマイナス32.9%を記録した。
統計開始以来、最大のマイナス成長を記録した。
日本ではリーマンショック時の2009年1-3月期にマイナス17.8%のマイナス成長を記録しているが、これを上回ると戦後最大の落ち込みになる。
日本経済は極めて深刻な不況に転落している。
しかし、日本経済が不況に転落した原因がコロナにあるのではない。
日本政府は2018年10月をピークに日本経済が景気後退局面に移行したことを、景気後退転落から1年半経って初めて認めた。
私は昨年前半から、日本経済が2018年10月を境に景気後退局面に移行したことを指摘してきた。
しかし、安倍内閣は2012年11月以来の景気拡大が続き、史上最長の景気拡大が実現しているとの認識を示してきたのだ。
まさに台本営である。
2019年10月の消費税増税は日本経済が景気後退局面に移行して1年経過した時点で強行された。
消費税増税は完全に誤った政策対応である。
安倍首相はリーマンショックのようなことがない限り、消費税増税を行うと説明してきたが、日本経済はいま、リーマンショック時を上回る深刻な不況に突入している。
しかも、安倍内閣が消費税率を10%に引き上げた時点で、日本経済は不況に転落して1年経過していた。
不況のさなかに消費税増税を強行し、日本経済をリーマンショック時以上の深刻な不況に転落させた。
政策責任は極めて重大だ。
コロナ問題が顕在化したのは2020年に入ってからだ。
台湾政府は昨年末の時点で武漢市の異変を掌握し、直ちに水際対策を強化した。
中国政府が武漢市を封鎖した1月23日には、武漢市からの入境禁止措置を実施している。
安倍首相は中国政府が武漢市を封鎖した翌日の1月24日に、在中国日本大使館HPで中国国民に対して、2月の春節の休暇を利用して日本を訪問することを要請した。
台湾政府との温度差が鮮明である。
その後も、3月24日に、2020年東京五輪延期が正式に決定されるまで、2020年7月に東京五輪を開催するスタンスを取り続けた。
3月1日には東京マラソンまで強行実施した。
東京五輪の延期が正式に決定されると、安倍内閣は突然スタンスを変えて、4月7日に緊急事態宣言を発出した。
日本の市民は3月20日をピークに警戒行動を強め、5月5日にかけて行動抑制を徹底した。
その結果、5月末にかけてコロナ新規感染者数が急減した。
この変化を受けて安倍内閣は5月25日に緊急事態宣言をすべての都道府県で解除。
「わずか1ヵ月半でコロナを収束させることに成功した」
と大見得を切った。
ところが、このコロナ収束宣言から、わずか1ヵ月半で感染減少は完全に吹き飛んだ。
4月の感染増をはるかに上回る感染拡大を招いてしまった。
行動抑制によって感染拡大を抑止し、慎重に経済活動の拡大を図らねばならないが、安倍内閣は感染拡大を放置して人々の移動拡大を推進している。
安倍内閣が7月22日に始動させたGoToトラブルキャンペーンは人の移動拡大を推進するもの。
人の移動拡大に4週遅れで連動して新規感染者数が増加している。
この影響で、経済活動に再び強い下方圧力がかかり始めている。
四半期成長率の最大マイナスは2020年4-6月期に記録されることになると見られるが、その後の順調な経済活動拡大を見通せない。
政府の政策対応も手詰まりである。
安倍内閣の退場を急がねばならない。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
https://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第2707号「安倍内閣コロナ経済政策失敗が鮮明」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.comまでお願い申し上げます。
価格:1,650円 通常配送無料
出版社:株式会社コスミック出版
amazonで詳細を確認する
価格:994円 通常配送無料
出版社:詩想社
amazonで詳細を確認する
価格:907円 通常配送無料
出版社:発行:祥伝社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料
価格:994円 通常配送無料
出版社:発行詩想社 発売星雲社
amazonで詳細を確認する
価格:1,620円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,512円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する
価格:1,728円 通常配送無料
出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する
« 敗戦後日本の逆コース | トップページ | バケツに穴を開けて真水を注ぐ愚策 »
「アベノミクス失政」カテゴリの記事
- アベノミクス失敗後の日本経済(2023.04.19)
- 日本経済再生策の核心(2022.12.11)
- 日本経済超停滞を招いた主犯(2022.11.16)
- 観光人気日本1位の真相(2022.06.13)
- 最悪の成果残したアベノミクス(2021.12.30)