GoToで人の移動指数が最高値を更新
7月28日の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が995人となり、既往最高を更新した。
これまでの最大値は7月23日の981人。
東京都の新規感染者数は266人だった。
新規感染者数は4月の感染拡大期を上回っている。
検査数が増大しているとの指摘があるが、検査数が増大している主因は、検査を必要とする人の増大だ。
感染拡大を軽視するべきでない。
東アジアではコロナ感染症の致死率が低い。
もっとも検査が拡充されているシンガポールの感染者数は5万1197人で、人口100万人当たり感染者数は8746人で、東アジアでもっとも多い。
しかし、死者数は27人で、致死率は0.053%である。
欧州でもっとも検査が行われている英国での感染者数は30万111人だが、人口100万人当たり感染者数は4419人でシンガポールの約半分だ。
しかし、死者は4万5759人に達し、致死率は15.2%に達している。
英国のコロナ致死率はシンガポールの288倍に達している。
なぜこのような巨大な格差が生じているのかは明らかでない。
英国をはじめとする欧米および南米諸国ではコロナは文字通り国家的危機をもたらしている。
日本での死者は約1000人で、例年のインフルエンザ死者の10分の1程度に収まっている。
この状況が持続するのであれば、すべての経済活動を遮断するような対応を取る必然性は乏しい。
ただし、リスクが排除されているわけではない。
ウイルスの変異速度が速いため、日本において強毒性ウイルスの感染拡大が生じないという保証はない。
SARSやMARSの事例では、変異によってウイルスが強毒化するという事例が見られなかったことから、今回の新型コロナウイルスについても、今後、強毒ウイルスの感染が拡大するリスクは小さいとの見解もある。
しかし、リスク管理の基本は「最悪に備えること」であり、予断をもつべきではない。
少なくとも感染が再拡大していることは間違いのない事実だ。
感染拡大を放置することはさまざまなリスクを増大させる原因になる。
国家の政策として、感染拡大の放置、あるいは、感染拡大の推進は正しいものと言えない。
本ブログ、メルマガで明示してきたが、人の移動と感染との間には明瞭な因果関係が存在すると考えられる。
Apple社が公表している人の移動指数の推移と新規感染者数の間に明確な連動関係が観察される。
Apple社が提供する「交通機関を利用しての日本の人の移動指数」推移を調べる。
これを4週間ずらして東京都の新規感染者数と対比させると、驚くほど強い連動関係が観察される。
これまでは3週間ずらしたデータと比較してきたが、よく調べてみると、4週間ずらした方が、当てはまりが強い。
人の移動指数と東京都の新規感染者数推移
安倍内閣が行動抑制緩和を鮮明に打ち出したタイミングだ。
全国の小中高学校再開を宣言したタイミングである。
この3月の連休に人出が急増したと伝えられた。
この人の移動拡大が4週間後の4月17日の東京都の新規感染者数206人につながった。
その後、人々の行動抑制が一気に強化されて、5月5日に移動指数は51.43の最低値を記録した。
この行動抑制を受けて、5月末に東京都の新規感染者数が一桁台にまで急減した。
感染者数減少を受けて安倍内閣は緊急事態宣言を順次解除し、5月25日に全国47すべての都道府県で解除した。
しかし、人の移動指数は5月5日をボトムに拡大に転じていた。
そして、6月26日、人の移動指数は132.11を記録して3月20日のピークを更新した。
この数値記録から4週間を経た7月23日、東京都の新規感染者数が366人の最高値を記録したのである。
しかし、安倍内閣はこの状況下でGoToトラブルキャンペーンを強引に始動させた。
そして、キャンペーンを始動した7月22日に人の移動指数は136.85の最高値を記録したのである。
恐らく、8月19日頃に新規感染者数はさらに増加して記録を更新することになるだろう。
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